火力・風力・地熱発電を後押し、政府が環境アセスメントを簡素化へ法制度・規制

原子力に依存しないエネルギー供給体制を確立するため、今後の増強が不可欠な火力・風力・地熱発電所の設置手続きが大幅に簡素化される見通しだ。経済産業省と環境省が合同で、発電所の新設やリプレースに伴う環境アセスメントの簡素化・迅速化の具体策を年内にとりまとめる。

» 2012年09月25日 15時15分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 政府が2030年のエネルギー供給体制の構築に向けて発表した「革新的エネルギー・環境戦略」では、再生可能エネルギーの拡大と合わせて、火力発電の高度利用が重要な施策のひとつとして盛り込まれている。原子力に依存しない「ゼロシナリオ」を実現するためには、火力発電の比率を2010年の63%から65%に高める必要があるからだ(図1)。

図1 2030年における電力の構成比に関する3つのシナリオ。出典:国家戦略室

 火力発電の場合はCO2の排出が問題になる。その対策として、老朽化した火力発電所のリプレース(設備更新)や、エネルギー効率の高いLNG(液化天然ガス)を使った火力発電所の新設などを早急に進めていかなくてはならない。ただし発電所の新設・リプレースにあたっては、「環境影響評価法」に基づいたアセスメント(影響評価)が義務付けられており、従来は全体の手続きが完了するまでに3年程度を要している。

 このアセスメントの内容やプロセスを簡素化して、1年程度に短縮できるようにする。合わせて再生可能エネルギーの中でもCO2の排出とは別の観点で環境への影響が指摘されている風力発電と地熱発電のアセスメントも1年半程度に短縮する方針だ。

 経済産業省と環境省が第1回目の連絡会議を9月中に開催して、アセスメントの簡素化・迅速化のための方策の検討を始める。年内には具体策をとりまとめて発表する予定である。これを受けて電力会社や各電気事業者、一般企業でも発電所の新設・リプレース計画を進めやすくなる。また一歩、ゼロシナリオの実現に向けて前進する。

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