コージェネと系統電力を併用、ガス会社が電力事業に参入電力供給サービス

大阪ガスは、子会社が京セラドーム大阪周辺の再開発地区で電力事業に参入することを明らかにした。コージェネレーション・システムを利用して、周囲の5施設に電力を供給し、不足分は系統の電力を利用する。電気事業法の要件緩和後初の例となる。

» 2012年11月30日 07時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 新たに電力事業に参入するのは大阪ガスの100%子会社であるクリエイティブテクノソリューション。これまで、京セラドーム大阪周辺などで熱や冷水を供給する事業を展開していた。電力事業には、特定の地域に電力を供給する「特定電気事業者」として参入する。2013年5月から事業を始める予定。

 かつて、特定電気事業者は自前の発電設備で電力需要を100%満たさなければならないという規制があった。昨年度の電気事業法改正により、事業者は自前の設備で需要の50%以上に応えればよいということになり、不足分は他事業者からの供給でまかなえるようになった。クリエイティブテクノソリューションの特定電気事業者への参入は、法改正以降初の例となる。

 クリエイティブテクノソリューションは京セラドーム大阪周辺に立地する「岩崎コンピューターセンタービル」「LIXILビバ」「hu+gMUSEUM」「ドームシティガスビル」「岩崎エネルギーセンター」の5施設に電力を供給する(図1)。

図1 クリエイティブテクノソリューションが電力を供給する地域。黄色い線が電力線、赤い線は熱を送る温水管、青い線は冷水管を示している

 電力源となるコージェネレーション・システムは、岩崎コンピューターセンタービルに設置してあるものを利用する。最大出力は4000kW。供給元、供給先をネットワークで結ぶ電力管理システムを構築し、供給先の電力需要に応じて、コージェネレーション・システムを制御する。

 電力供給先のうち、hu+gMUSEUMは大阪ガスが2014年3月完成を目指しているもので、ガス・コージェネレーション・システム、業務用燃料電池、太陽光発電システム、太陽熱パネル、蓄電池、杭採熱システム(地中に打ち込んだ杭を通して地中熱を取り出すシステム)といった機器を設置する予定。

 hu+gMUSEUMが完成したら、電力管理システムで太陽光発電システムの発電状況も監視し、コージェネレーション・システムに加えて蓄電池も制御できるようにする。太陽光発電システム、蓄電池、コージェネレーション・システムを電力需要に応じて制御することで、系統から受電する電力を最低限に抑えることができる。

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