オフィスの節電対策に有効なBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)を推進する国の補助金制度が揺れ動いている。夏から低迷していた申請件数が11月になって大幅に増えたものの、特定のアグリゲータからの申請が大半を占めており、まだ本格的な拡大には至っていない状況だ。
8月〜10月の3か月間は月に200件を下回っていたBEMS(ビル向けエネルギー管理システム)の申請件数が11月に大幅に回復した。BEMSの補助金を運営する環境共創イニシアチブが毎週金曜日時点の申請件数を発表しているが、12月7日現在で累計2340件に達し、直近の約1か月間で600件を超える補助金の申請があった(図1)。
主に中小企業を対象にした節電対策のための補助金制度であり、夏以降の申請件数の伸び悩みが心配されたが、ひとまず上昇傾向が見られるようになった。とはいえ23社のアグリゲータ別に申請状況を見てみると、増加分の大半は特定のアグリゲータによるものであることがわかる。残念ながら全体的な拡大傾向が始まったわけではなさそうだ。
従来から圧倒的に申請件数が多いエナリスは303件も伸ばして累計で1000件を突破した。23社合計の増加分の半数を占めている。このほか大崎電気工業の申請件数が114件も増加して3倍になった。2社を除くと、10件以上の増加があったのは日本テクノ(20件)、日立製作所(18件)、日本ユニシス(14件)の3社だけである。
そろそろアグリゲータ各社は主要な対象企業に対する営業活動を一巡させて、今後はBEMSの導入支援を本格的に進めていく時期に入るとみられる。来夏の節電シーズンを控えた春までの時期が大きな節目になる。それまでに23社のアグリゲータすべてで申請件数が大きく伸びることを期待したい。
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