再エネ利用率を8割以上に、八丈島の地熱発電を大幅拡張自然エネルギー

東京都環境局は八丈島の地熱発電所を大幅に拡張する計画を明らかにした。地熱発電所の出力を3倍に引き上げ、再生可能エネルギーの利用率を80%以上まで高めることを目指している。

» 2013年01月08日 15時00分 公開
[笹田仁,スマートジャパン]

 現在、八丈島では東京電力が「八丈島地熱発電所」(図1)を運営している。東京都によるとその出力はおよそ2MW(2000kW)だ。八丈島では電力のおよそ25%を地熱発電でまかなっている。残りの75%は軽油を燃料としたディーゼル発電機から得ている。

図1 東京電力の八丈島地熱発電所。出典:東京電力

 今回明らかになった計画では、地熱発電所の出力を現状の3倍程度(6MW)まで拡張する。さらに出力が1.2MW(1200kW)程度の揚水発電所を建設する。

 6MWもあれば、夜間は地熱による電力だけで十分間に合うので、余った夜間電力を利用して揚水発電所の水をくみ上げる。昼間になり、地熱だけでは電力供給が間に合わなくなったら、揚水発電所の水を落として電力を得る。それでも足りないときは、現在利用しているディーゼル発電機を稼働させる(図2)。猪瀬直樹東京都知事は、ディーゼル発電機を「非常用」と位置付け、夏のピーク時を除けば、ディーゼル発電機を稼働させなくても済む可能性が高いとしている。

図2 地熱発電所の出力を拡張した後の、電力供給計画。夜間電力で揚水発電所の水をくみ上げ、昼間に水を落として発電する。それでも足りないときはディーゼル発電機を使う。出典:東京都

 地熱発電所の発電能力を拡張し、揚水発電所と組み合わせることで、八丈島で必要な電力の86%を再生可能エネルギーでまかなえると東京都は見ている(図3)。

図3 左側は現在の八丈島の電力源。地熱による電力が25%で、残り75%がディーゼル発電機によるものだ。右側は地熱発電所の出力を拡張した後の計画。揚水発電所と組み合わせることで80%以上の電力を再生可能エネルギーでまかなえる。出典:東京都

 東京都は2012年度中に地元関係者や学識経験者を集めて検討委員会を発足させ、事業の進め方などを検討する。2013年度には実現可能性の調査やコスト計算を実施し、事業の進め方を確定させる予定だ。その後2014年度に整備事業という形で事業開始を目指す。

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