熱の活用で電力使用量が半分以下に、「超省エネ自販機」を全国展開へ省エネ機器

サントリーグループは従来と比べて電力使用量を半分以下に削減できる新型の自動販売機を全国に拡大する。自販機の中で発生する熱を再利用するほか、外気の熱も取り込んで冷却と加温の効率を高めた。2013年末までに1万7000台を新型に切り替える計画だ。

» 2013年03月18日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 2011年の夏に電力不足の問題が深刻になると、真っ先にやり玉に挙がったのが街じゅうに設置されている自動販売機だった。飲料メーカー各社は照明を消すなどの対策をとる一方で、電力使用量の少ない省エネ自販機の設置を急いで進めてきた。

 サントリーグループが2012年から投入した「超省エネ自販機」は、従来機(2007年型)と比べて電力使用量が45%程度と半分以下で済む。グループ内の調査では国内で使われている自販機の中で電力使用量が最も少ないことを確認した。

図1 「エコトリ自動販売機」。出典:サントリー

 この新型を3月から「エコトリ自動販売機」として全国に展開する(図1)。12月までに設置台数を1万7000台に拡大して、自販機による省エネ活動をアピールする考えだ。取り出し口の上に表示したパネルには「省エネ日本一!」の文字が躍る。

 電力使用量を削減するためにヒートポンプを内蔵した。自販機には冷却と加温の2つの機能が必要で、冷却時に発生する熱をヒートポンプが吸収して加温時に利用する。自販機の内部で熱を有効に利用することで電力使用量を削減できる。

 さらに新型では外気も熱として吸収できる「ハイブリッドヒートポンプ」の仕組みを加えた。単純なヒートポンプ式が従来機と比べて電力使用量を63%に削減できるのに対して、ハイブリッドヒートポンプ式の新型は45%まで削減することが可能になる。

 サントリーグループ全体で全国に40万台以上の自販機を設置している。このうち8割以上を2017年末までに、新型を含むヒートポンプ式の省エネ自販機に切り替える計画だ。

 日本自動販売機工業会によると、自販機1台あたりの電力使用量は年間に1000kWhを超える。サントリーグループの40万台だけでも合計で4億kWh以上になり、日本の電力使用量全体(2012年で8600億kWh)の0.05%に相当する。電気料金も1kWhあたり10円として、年間に40億円かかる。新型の自販機で電力使用量を半減できる効果は極めて大きいことがわかる。

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