電力会社9社は毎年3月末までに、新年度および10年後の需要と供給力の予測を経済産業大臣に報告することになっている。2013年度も原子力発電所の再稼働が見込めないことから、各社は供給力の推定は避けて、需要予測だけを提出した。
その報告内容を見ると、地域によって差はあるものの、全体的には2012年度とほとんど変わらない水準の需要を期待している(図1)。従来は各社とも高めの予測値を出す傾向にあったが、2012年度に需要が減った地域が多く、楽観的な見通しを立てにくかったと考えられる。
9社の合計では最大電力が1.6%の増加で、年間販売量はわずかに減少する。2012年度は最大電力が前年度比で0.7%増、年間販売量は1.2%減になる見込みで、もはや電力需要が伸びる状況にはない。
それでも電力会社の多くは2013年度には景気の回復による需要の増加に加えて、節電効果は横ばいになるとみて微増の予測を出した。東日本大震災から2年が経過して、企業や家庭の節電意欲が薄れることを想定しているようだ。しかし実際には消費電力の小さい電気機器への切り替えや自家発電設備の導入などが進み、電力会社に対する需要は確実に低下している。
この冬の実績を見ても、各地域で電力需要が当初の予測を大きく下回った。しかも東京に続いて関西と九州で電気料金の値上げが決まった。今年の夏も電力の使用量を削減する取り組みが企業と家庭の双方で進むことは確実で、電力会社の期待通りに需要が増える可能性は極めて低い。
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