太陽電池の用途が変わる、数量伸びるも住宅用が首位から転落自然エネルギー

太陽光発電協会(JPEA)が集計した2012年度の太陽電池の出荷量によれば、国内向けは前年の1.6倍に成長。住宅用も1.5倍に伸びている。だが、事業用・産業用の伸びが9.2倍と著しく、出力0.5MW以上の用途は13.5倍に伸びた。このため、非住宅用が住宅用を初めて逆転した。

» 2013年06月05日 15時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 国内企業による太陽電池の出荷量や生産量はどのような推移を見せているのだろうか。太陽光発電協会(JPEA)は国内企業を対象にした2種類の調査結果を発表した。2013年1〜3月という直近の第4四半期の数字と、2012年4月〜2013年3月(2012年度)を見た通期の実績である。

国内出荷量は前年度比2.7倍に増加

 2012年度通期の太陽電池セルと太陽電池モジュールの総出荷量は前年度比162.8%となる437万1284kWだった(図1)。そのうち、総出荷量の87%を国内出荷が占める。前年度の271.3%となる380万9451kWと大きく伸びた。一方、輸出は落ち込んでおり、前年度の43.8%にすぎない。56万1833kWだった。図1を見ると輸出以外の数字は、四半期ごとに増えていることが分かる。

図1 2012年度のセル・モジュール出荷量。出典:JPEA

 輸出の調子が悪い。ではどの地域が足を引っ張っているのか。図2を見ると、欧州の落ち込みが著しく、前年度の4分の1になっている。米国も2分の1以下だ。唯一、その他の地域に助けられていることが分かる。欧州は市場自体が2011年でピークを迎えており、少なくとも2016年まで回復しない(関連記事)。日本企業の輸出の落ち込みは欧州市場の落ち込み以上だが、これは避けがたい傾向だと言える。米国市場の伸びも期待できない。

図2 2012年度のセル・モジュール輸出量。出典:JPEA

 国内出荷量の全てが国内で生産されているのではない。380万kWのうち、38%(144万3492kW)が海外で生産されていた。海外生産分のうち、4割(57万4687kW)が国内企業の海外生産によるものだ。従って、国内出荷量に占める海外企業の輸入量は22.8%(86万8805kW)ということになる。なお、輸入品の伸びは著しい。全

非住宅用が住宅用を上回る

 太陽電池モジュールについては、四半期ごとに用途別の出荷量も公開した。特筆すべきなのは、2012年度、初めてメガソーラーなどを含む非住宅用が住宅用を上回ったことだ。2011年度までは住宅用が約8割を占める状態が長く続いていた。

 2012年度は、住宅用の186万8969kW(前年度比155.0%)に対し、非住宅用は193万7671kWであり、これは前年度の9.9倍の数値だ。非住宅用にはさまざまな用途が含まれている。うち55%を占めるのが、非公的施設に設置する産業・事業用である(図3)。事務所や工場用電力、学校に設置されたものだ。前年度の9.2倍に伸びており、これが非住宅用を支えている。出力0.5MW以上の発電事業用も非住宅用に含まれている。全出荷量に占める割合は19%(72万4211kW)にまで成長しており、四半期ごとの伸びも著しい。前年度比では13.5倍に膨らんだ。

 JPEAは太陽電池モジュールの用途を7つに分けて集計している。図3ではそのうち数量が最も多い3つの用途の四半期ごとの推移を示した。第1四半期は2012年4〜6月を意味する。

図3 モジュールの用途別出荷量。出典:JPEA発表資料を本誌が編集

 なお、JPEAでは以下の34の国内企業を出荷量の調査対象としている。AGC硝子建材、SunLink PV Japan、Upsolar Japan、Qセルズジャパン、伊藤組モテック、イワテック、インリー・グリーンエナジージャパン、ウエストホールディングス、エスパワー、カナディアン・ソーラー・ジャパン、カネカ、京セラ、グリーンテック、クリーンベンチャー21、サニックス、サンテックパワージャパン、シャープ、新興マタイ、ソーラーフロンティア、ソプレイソーラー、高島、長州産業、東芝、トリナ・ソーラー・ジャパン、トワダソーラー、ネクストエナジー・アンド・リソース、ネミー、ノーリツ、パナソニックグループ 三洋電機、ハンファ、富士電機、フジプレアム、ホットサンエナジー、ホンダ、三菱電機。

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