今夏も電力需要は増えず、最高気温35度でも前年並みエネルギー管理

全国各地で猛暑が続き、電力の需要が伸びている。それでも最大電力は前年並みにとどまり、政府の予測値を大幅に下回ることは確実だ。企業や家庭の節電対策が想定以上の効果を発揮する。大きな発電所のトラブルが同時に起こらなければ、今夏も全国で安定した電力需給が見込める。

» 2013年07月10日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 ここ数日間で特に気温の上昇が目立つのは東京電力の管内である。多くの地域で日中の最高気温が35度を超え、電力需要は先週と比べて大幅に増えている。それでも昨年7月の最大電力が5038万kWだったのに対して、今のところは昨日7月9日(火)の14時台に記録した4940万kWが最高だ。

 過去3年間の東京電力管内における最大電力と最高気温の状況を見てみると、東日本大震災後の2011年と2012年の夏は最大電力が5000万kW程度に収まっている(図1)。今週前半の最高気温が35度で、最大電力が5000万kW以下だったことを考えれば、今年の夏も5000万kWを大幅に上回ることはないだろう。電気料金が値上げされたこともあり、企業と家庭の節電対策は十分にとられているとみてよい。

図1 東京電力の過去3年間の最大電力と最高気温(7月と8月の平日、お盆期間を除く)。出典:東京電力

 ところが政府の委員会の予測では、節電による需要抑制効果は前年よりも小さくなり、東京電力の管内では2012年の実績707万kWから629万kWに縮小すると想定した。一方で景気回復によって119万kWの需要増加を見込み、最大電力は5450万kWに達すると予測している(図2)。前年の最大電力が5078万kWだったにもかかわらずだ。またしても予測値が大きく外れることは確実で、委員会の存在価値が問われる。

図2 今夏の電力需給見通し(2013年4月発表、画像をクリックすると拡大)。出典:電力需給検証小委員会

 こうした状況は東京以外の各地域でも同様である。企業と家庭の節電対策は着実に進化して、太陽光発電やガス冷暖房の導入件数も伸びている。夏の昼間の電力需要が増える要因は見あたらない。電力会社が大規模な発電所のトラブルを複数同時に起こすことさえなければ、今夏も安定した需給状況が続いていく。

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