電気自動車はガソリン車より石油消費量が多いのか?ウイークエンドQuiz(2/2 ページ)

» 2013年07月12日 18時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]
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正解:

 c.ガソリン車

ミニ解説

 ガソリン車は、ガソリンが含む化学エネルギーを直接、エンジンで運動エネルギーに変えている。一方、電気自動車は化石燃料の化学エネルギーを火力発電所で電気エネルギーに変え、送電し、モーターで運動エネルギーに変えている。変換の手間が多い分だけ電気自動車が不利に見える。電気自動車は実はガソリンをたくさん使っているのではないか?

 ここで計算に入れなければならないのが、エネルギーの変換効率だ。火力発電所の発電効率はコンバインドサイクルの場合、約60%、送電効率は約96%、モーターの効率を約90%とすると、電気自動車の効率は約50%となる。一方、ガソリンエンジンの効率は30%、ディーゼルエンジンで40%だ。このように荒い計算でもガソリン車の方が、電気自動車よりも1.5倍程度、ガソリンの消費量が多いことが分かる。

 水素・燃料電池実証プロジェクト(JHFC)の「平成22年度JHFC国際セミナー」では、東京大学名誉教授の石谷久氏が「総合効率とGreen House Gas排出の分析」と題した講演で各種方式の自動車の効率を比較している。

 同氏の分析手法は、「Well to Wheel」と呼ばれるもの。Well(油田)からWheel(車輪)までの効率を考える計算手法だ(図1)。

図1 各方式のWell to Wheelの比較。出典:石谷久氏

 図1を見ると、ガソリン車が1km走行するのに必要なエネルギーは2MJ弱、それに対して電気自動車は1MJ弱だ。約2倍の差が付いている。縦軸で示されている1km走行する際に排出するCO2(二酸化炭素)の量でも同じだ。つまり、電気自動車はガソリン車と比較してガソリンを半分しか使わない。図1にあるようにハイブリッド車よりも有利だ。

 同氏の計算は2009年度の電源構成を利用しているため、電源のうち26.7%が原子力発電である。これを差し引いて化石燃料だけを考えても、1.5倍以上、電気自動車が有利であることが分かる。

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