停電でも30分以上動作するエレベーター、平常時には25%の電力を生み出す蓄電・発電機器

エレベーターにとって停電は大敵だ。東芝エレベータは蓄電池と接続することにより、停電時でも30〜120分間動作する機能「トスムーブNEO」を開発した。平常時にはエレベーターの運動エネルギーを回収し、蓄電池を経由して再利用することで消費電力を最大25%削減することもできる。

» 2013年12月13日 07時00分 公開
[畑陽一郎,スマートジャパン]

 東芝エレベータは停電に強く、省エネにも役立つエレベーターの付加機能「トスムーブNEO」を2013年12月に発売した。同社が主力とする機械室が不要な標準型エレベーター「SPACEL-GR(スペーセル・ジーアール)」向けの機能である。

 東芝のリチウムイオン蓄電池「SCiB」*1)と組み合わせることで付加機能を実現した。トスムーブNEOでは2種類の運転パターンを選択できる(図1)。どちらの運転パターンも停電時に蓄電池で継続運転できる。停電時に急停止することなく、減速して最寄り階に向かう機能や、かご内に照明をともす機能も備える。

 省エネ重視タイプでは、停電時でも60m/分という高速で運転できる。ただし、継続運転時間は30分と短い。通常運転時にはエレベーター走行中に生み出した回生電力を蓄電池に充電し、運転中の消費電力を最大25%削減するハイブリッド運転が可能だ。

 停電重視タイプは運転速度が20m/分と比較的低速だが、運転継続時間は2時間と長い。

*1) SCiB蓄電池は一般的なリチウムイオン蓄電池と比較すると、寿命が長く、低温時に性能が低下しにくいという特徴をもつ。

図1 トスムーブNEOの運転機能。出典:東芝エレベータ

 同社は2012年5月に今回の機能の原型となる「トスムーブ」をSPACEL-GRのオプション機能として発売している。トスムーブは停電時にSCiB蓄電池から電力を得て、最大2時間程度、低速運転(10m/分または20m/分)可能だった。

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