「エネファーム」のエネルギー効率がJISに、国際規格で世界展開も蓄電・発電機器

日本が世界に先駆けて商品化した家庭向けのガスコージェネレーション「エネファーム」が進化を続けている。経済産業省は市場拡大を促進するために、エネファームのエネルギー効率を測定する新しい方法を開発して「JIS(日本工業規格)」に制定した。国際規格にも提案して世界標準を目指す。

» 2013年12月27日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 「エネファーム」は燃料電池を使って電力と温水を供給する家庭向けの小型ガスコージェネレーションである(図1)。燃料のガスをエネルギーに転換できる効率が高く、CO2排出量の低減とともに光熱費の削減にも効果がある。日本が世界に先行して商品化した省エネ機器で、今後は国内に加えて海外展開を目指して政府が強力に後押しする。

図1 「エネファーム」の利用イメージ。出典:経済産業省

 経済産業省はエネファームの有効性を示すエネルギー効率の測定方法を「JIS(日本工業規格)」に制定した。これまでもJISで定めた測定方法はあったが、定常的な条件で計測するために、実際の利用状況を適正に評価できるものではなかった。新しい測定方法は2パターンを用意する。

 1つ目は「11モード運転パターン」と呼び、自動車の燃費を測定する方法に近い。家庭における標準的な運転パターンを想定して、エネファームの発電ユニット単体のエネルギー効率を測定する。1日1回あるいは週1回の起動・停止のほか、24時間連続運転など、複数のパターンを選択できる。測定するエネルギー効率は、発電効率と排熱回収効率、その両方を合わせた総合効率の3種類がある。

 2つ目のパターンは電力と給湯それぞれの年間を通じた消費量を測定するものである。季節ごとに外気温度や給水温度を設定した状態で試験を実施する。家電製品の消費エネルギーを測定する方法と同様だ。エアコンの「APF(通年エネルギー消費効率)」に相当する。

 今後は各メーカーともエネファームの新製品を対象に、JISの新しい測定方法に準拠したエネルギー効率のデータを表示する見通しだ。このデータをもとに利用者は実際の光熱費を予測しやすくなる。

 エネファームのような燃料電池を使った小型ガスコージェネレーションの分野では、国際規格の制定においても日本が主導権を握っている。これまでもJISの内容をベースに「IEC(国際電気標準会議)」の国際規格を推進してきた。今回のエネルギー効率の測定方法も世界に先駆けて規格化したもので、近くIECの国際規格に提案する方針だ。

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