雪に負けず増え続けるメガソーラー、日本海の風力や波力も有望エネルギー列島2014年版(17)新潟(1/2 ページ)

国内有数の豪雪地帯を抱える新潟県内でメガソーラーの建設計画が相次いでいる。雪が降っても標準以上の発電量を得られる設置方法が明確になったことで、自治体と民間企業が積極的に開発に乗り出した。日本海の厳しい自然がもたらす風力や波力も将来のエネルギー源として期待が高まる。

» 2014年08月05日 09時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 日本海に面した昭和シェル石油の輸入基地の中には、2つのメガソーラーがある。2010年から運転を続けている「新潟雪国型メガソーラー」に隣接して、「新潟第二メガソーラー」が2014年3月に稼働を開始した(図1)。最初の「雪国型」で実証した太陽光パネルの設置方法をもとに、第二メガソーラーの発電効率をさらに高くできるように設計した。

図1 「新潟雪国型メガソーラー」と「新潟第二メガソーラー」。出典:昭和シェル石油

 2つのメガソーラーが立地する新潟市では、冬の積雪が1メートル近くに達することもある。雪国型メガソーラーの建設にあたっては、太陽光パネルを設置する架台を1メートルの高さにしたうえで、パネルの角度は20度と30度の2種類を併用した(図2)。

図2 「新潟雪国型メガソーラー」の太陽光パネル設置状況。出典:新潟県、昭和シェル石油

 その結果1MW(メガソーラー)の発電能力に対して、1年目の発電量は114万kWhになった。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)を計算すると13.0%で、国内の標準値12%を超えている。当初の想定では雪の影響を考慮して95万kWを見込んでいたが、それを2割も上回る好結果である。

 冬には太陽光パネルの上に雪が積もっても、傾斜によって滑り落ちるケースが多かった。たとえ部分的に雪が残った場合でも、パネルが発電して温度が上昇することによって溶け落ちることがわかった。しかも設置角度を20度に設定したパネルのほうが発電量は多かった。

 そこで第二メガソーラーでは太陽光パネルの設置角度を20度に統一して、発電規模を6倍の6MWに拡大した。架台の高さは1メートルで従来と変えていない。雪国型メガソーラーの実績から、1メートルあればパネルの上まで雪が届くことはないと判断した。年間の発電量は748万kWh、設備利用率は従来よりも高い14.2%を見込んでいる。

 雪国型メガソーラーの開発には、新潟県の企業局が共同で取り組んだ。この経験をもとに、企業局は新潟市に隣接する阿賀野市の産業団地でメガソーラーを拡大中だ。2011年から運転を開始した「新潟東部太陽光発電所」は、現在までに1号系列と2号系列を合わせて2MWの発電能力になっている(図3)。

図3 「新潟東部太陽光発電所」の全景。運転中の1号系列と2号系列(上)、建設中の3号系列を加えた完成イメージ(下)。出典:新潟県企業局

 さらに現在の発電設備の周辺に残る広い区画には、新たに3号系列を建設中だ。発電能力を一気に15MWに拡大して、2015年度中に運転を開始する。年間の発電量は1号・2号系列と合わせて約2300万kWhに達する見込みで、一般家庭で6400世帯分の電力使用量に相当する規模になる。

 太陽光パネルの種類は雪国型メガソーラーが化合物系の薄膜タイプだったのに対して、東部太陽光発電所では標準的な結晶シリコン系を採用している。このパネルの違いを考慮して、設置角度は30度を選択した。阿賀野市は新潟市よりも内陸にあって降雪量が多いため、架台の高さも1.8メートルに引き上げた。

 この計画と並行して新潟市でも、競馬組合の厩舎の跡地を利用してメガソーラーを建設している。4MWの発電能力で2014年12月に運転を開始する。太陽光パネルは結晶シリコン系を採用して、設置角度も30度に統一した。架台の高さは少し低めの1.5メートルである。豪雪地帯にメガソーラーを設置する方法が定着してきた。

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