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» 2014年08月05日 09時00分 公開

雪に負けず増え続けるメガソーラー、日本海の風力や波力も有望エネルギー列島2014年版(17)新潟(2/2 ページ)

[石田雅也,スマートジャパン]
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雪国でも投資に見合う発電量に

 新潟市では農業用水路を活用した太陽光発電の取り組みも始まっている。市内を流れる「小松掘排水路」の斜面に、約1キロメートルにわたって2200枚の太陽光パネルが続く(図4)。設置角度は斜面と並行に30度になっていて、東部太陽光発電所と同じだ。

図4 「小松掘排水路発電施設」(左)、「松山発電施設」(右)。出典:亀田郷土地改良区

 加えて用水路から水を引き入れる田んぼでも、休耕状態の区画を利用して太陽光発電を同時に開始した。太陽光パネルの下は水を張った状態にして、水田の機能を維持する。排水路の斜面で実施する分と合わせて年間の発電量は82万kWhになる。売電収入は年間に3000万円程度になる見込みで、農業用水路の維持管理費の負担軽減に生かす。

 雪国であっても太陽光パネルの設置場所と設置方法を選べば、投資に見合う十分な発電量を得られることが明確になってきた。新潟県で固定価格買取制度の認定を受けている太陽光発電設備の規模は全国で41位にとどまっているが、これからは確実に増えていくはずだ(図5)。

図5 固定価格買取制度の認定設備(2013年12月末時点)

 その一方で太陽光に続いて、風力や海洋エネルギーを利用した発電設備の導入プロジェクトが進んできた。新潟県内にある風力発電所の中では、現在のところ北部の胎内市(たいないし)で2014年3月に稼働した「中条風力発電所」が2MWで最も大きい。

 同じ胎内市の日本海沿岸では、10基の大型風車を並べた風力発電所の建設が始まっている(図6)。伊藤忠エネクスグループの「胎内風力発電所」が20MWの発電規模で2014年8月中に運転を開始する予定だ。風力発電の標準的な設備利用率20%を適用すると、年間の発電量は3500万kWhになり、一般家庭で約1万世帯が使用する電力を供給できる。

図6 「胎内風力発電所」の建設予定地。出典:伊藤忠エネクス

 日本海から吹きつける強い風は貴重なエネルギー源になる。洋上では波を起こして、波力エネルギーとしても利用できる。胎内市から北に約40キロの日本海に浮かぶ粟島(あわしま)では、波力・潮流・洋上風力の3種類の海洋エネルギーを利用した発電設備の実証事業が始まろうとしている。

 3種類の中では潮流発電の取り組みが先行して、2014年度内にも実証試験を開始する予定だ。4枚の羽根を垂直に組み合わせた水車発電機を海中に設置して、潮の流れで水車が回転する仕組みである(図7)。設置場所は粟島の北側の沖合を想定している。

 地元の粟島浦村と漁業協同組合、さらに新潟県や日本大学理工学部を含む5者間で協定を結んで実証試験に取り組む。このほど国の海洋エネルギー実証フィールドの1つにも選ばれたことで、助成金を受けてプロジェクトを推進することが可能になった。潮流発電では粟島が日本の先進モデルになる。

図7 粟島沖の実証試験で想定している潮流発電機のモデル(左)と実用化のイメージ(右)。出典:新潟県海洋エネルギー研究会ほか

*電子ブックレット「エネルギー列島2014年版 −関東・甲信越編 Part2−」をダウンロード

2016年版(17)新潟:「都市と離島に眠るエネルギーを生かす、下水バイオガスから海流発電まで」

2015年版(17)新潟:「洋上風力と潮流発電に日本海で挑む、内陸には雪と太陽光と水力発電」

2013年版(17)新潟:「雪国で生まれる小水力とバイオマス、冬の太陽光は角度でとらえる」

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