日立ウィンドパワーは新潟県に出力2MWの「中条風力発電所」を建設、2014年4月から商用運転を開始する。日立製作所が開発した低風速に適するダウンウィンド型風車を採用した。
日立ウィンドパワーは新潟県に出力2MWの「中条風力発電所」(胎内市富岡)を建設、2014年4月から商用運転を開始する(図1)。日立産機システム中条事業所内に立ち上げた。
1年間に一般家庭約1300世帯をまかなう発電が可能であり、固定価格買取制度(FIT)を利用して、全量を東北電力に売電する。
中条風力発電所で採用した風力発電システムは、日立製作所が開発した「HTW2.0-86」(1基)。風の吹いてくる風下側にローター(羽根)が位置するダウンウィンド型*1)である(図2)。
特徴は風のあまり強くない立地にも適するよう低風速域対応としたことだ。「当社の従来機種はローターの直径が80mである。HTW2.0-86はローターの直径を86mと長くすることで受風面積を拡大し、発電量を稼ぐ設計とした」(日立製作所)。ローターの中心であるハブの高さは78m。発電機は交流励磁同期発電方式を採った。
発電を始めることができるカットイン風速は4m/秒、定格出力が得られる風速は12m/秒だ。24m/秒以上の強風の場合は、機械的・電気的保護のため発電を停止する(カットアウト風速)。
日立製作所はローター直径80mの「HTW2.0-80」をこれまで130基以上受注している。今後は陸上に風況のよい立地が減っていくことを考えて、低風速対応のシステムを開発、初号機を今回設置した形だ。
*1) ダウンウィンド型は風を受けるだけでローターの向きが定まるという性質がある。ただし、HTW2.0-86ではローターの向きを決めるためにアクティブ制御を取り入れた。「風速が大きいとき、(垂直軸周りの回転である)ヨーの慣性によって、ローターの向きが回りすぎてしまう。これを防ぐためにアクティブ制御を取り入れた」(日立製作所)。
日立ウィンドパワーは、日立キャピタル(出資比率85.1%)と日立製作所(14.9%)が2014年1月に共同で設立した風力発電分野を担う企業。売電事業の他、運営や契約、ファイナンス組成などのノウハウ蓄積を目指す。
なお、日立キャピタルの再生可能エネルギー事業は2014年3月末までに192MWに達する見込みであり、2015年度の中期経営計画では320MWまで拡大する目標を打ち出している。
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