「同時市場」での調整力は3商品に集約へ――広域機関からの最終報告第61回「調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会」(1/6 ページ)

調整力や供給力のより効率的な調達を目的に導入が検討されている「同時市場」。このほど同市場を通じて調達する調整力に関する商品の設計について、最終的な方針がまとまった。

» 2024年04月23日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 将来の電力市場の姿として、供給力(kWh)と調整力(ΔkW)を同時に約定させる「同時市場」の検討が、国の「同時市場の在り方等に関する検討会」において進められている。

 現行の需給調整市場では、一般送配電事業者は前週及び前日において調整力を確保しているのに対して、同時市場の導入後は、前日市場以降も、一般送配電事業者がSCUC(系統制約を考慮した上で、最経済となる起動停止計画)を行うことにより、電源ラインアップを補正し、調整力の追加調達が可能となる(※本稿では、時間前市場でもkWhとΔkWを同時約定させる制度を前提として報告する)。

図1.現行制度と同時市場の調整力確保タイミングの違い 出典:需給調整市場検討小委員会

 また、現行の需給調整市場における需給バランスの基準はBG(バランシンググループ)による需要予測及び計画であるのに対して、同時市場では調整力・予備力を調達する基準が一般送配電事業者(TSO)による残余需要予測(計画)へと変化する。

 同時市場において、前日以降のSCUCや、ゲートクローズ(GC)以降のSCED(系統制約を考慮した上で、最経済となる経済負荷配分)によって電源の追加起動を行うにあたり、日本では比較的起動時間が長い電源が多いことも踏まえ、追加起動リソースの不足が生じないよう、GC以前から一定の「予備力」を確保することとしている。

図2.需給調整市場と同時市場 計画作成主体の違い 出典:需給調整市場検討小委員会

 これらの違いにより、同時市場では、市場で調達すべき調整力の「区分」や「量」等が現行制度から変わると考えられるため、その詳細検討は、広域機関の「調整力の細分化及び広域調達の技術的検討に関する作業会」にタスクアウトされてきた。

作業会ではこれまでの検討内容を取りまとめ、「同時市場の在り方等に関する検討会」に対して、最終報告が行われた。

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