同時市場では、TSOが作成する需給バランス計画を基準とすることにより、現行の需給調整市場と比べ、調整力必要量の低減が可能と考えられる。
現行の需給調整市場を2030年度まで継続したと仮定した場合の、調整力必要量は表3のように試算されている。変動性再エネ電源の増加に伴い、時間内変動や予測誤差に対応する調整力の必要量は現在と比べて増加することが想定されている。
なお、需給調整市場では「複合約定ロジック」の導入により、単独商品と比較して、一次〜三次①の必要量が30%程度低減することが見込まれている。(表3の※1では0.7倍)
また、需給調整市場メイン取引(週間断面)において1σ相当値を調達し、不足すると見込まれる場合は、前日断面において追加で調達する取組である「効率的な調達」の導入により、単独商品と比較して、一次〜三次①の必要量が40%程度低減することが見込まれている(表3の※2では0.6倍)。
この調整力必要量14,500MWが、沖縄を除く全国9エリア合計の2030年の需要(0.97億kW)に対する比率は14.9%に上る。
表3とは前提条件が異なるが、調整力作業会(第56回)では、同時市場における調整力必要量は需給調整市場と比べ、40%低減する(0.6倍)と試算している。(表4)
ここから、2030年度時点の同時市場における調整力必要量は8,700MW(表3の14,500MW×0.6)と試算された。これには、前日〜GCまでの残余需要予測誤差の30%分に相当する「予備力」1,350MWも含まれている。
以上より、再エネの導入量が増加するに従い、調整力必要量の増加が見込まれるものの、同時市場への移行により、調整力必要量の抑制が可能と考えられている。
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