脱炭素の実現に向けた重要技術として注目されている「DAC(Direct Air Capture)」。大気中のCO2を直接回収する同技術の普及と国内での産業育成に向け、経済産業省の「DACワーキンググループ」では今後の課題と取り組みの方向性が整理された。
カーボンニュートラルとは、排出削減の取り組みを進めてもなお残る人為的な温室効果ガス(GHG)排出量(=残余排出量)を、人為的なGHG除去により、バランスさせた状態である。大気からのCO2除去(CDR:Carbon Dioxide Removal)を行う技術は「ネガティブエミッション技術(NETs)」と呼ばれ、その一つが大気中のCO2を直接回収するDAC(Direct Air Capture)である。
DACにより回収したCO2は地下に貯留する(DACCS)ほか、カーボンリサイクルによる原料としての炭素の再利用(DACCU)も期待されている。
数あるCDR技術の中でも特にDACCSは、「1.永続性」「2.測定・モニタリングの簡便性・確実性」「3.拡張性(大規模スケール化が可能)」などの点で優れていると考えられ、今後の市場拡大が期待される。
アミン吸収法を活用した石炭火力排ガスからのCO2分離回収技術は、日本が世界トップレベルにあるものの、DAC事業そのものについては、大規模な実証・実装が先行する諸外国に後れを取っている。
経済産業省の「DACワーキンググループ」では、排出削減目標達成への貢献に加え、国内産業競争力の強化を目的として、国内でDAC産業を創出するため、図2の3つの視点から今後の課題と取り組みの方向性を整理した。
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