DACへの需要を拡大するためには、将来的にDAC等のCO2除去(CDR)にどの程度の需要があるかを示すことは重要であり、米国では2050年時点で10億トン/年、EUでは2040年時点で4億トン/年など、国等がCDRの長期的な見通しや今後の方針を提示している。
また、DACに対する初期需要創出の一環として、米国やカナダ、デンマークでは、DACを含む炭素除去プロジェクトを政府がオフテイク購入するプログラムをリリースしたほか、一部の民間企業はファーストムーバーとして、共同購入や長期オフテイク契約等の取り組みが広がりつつある。
なお、DACCUの短期的な市場として注目されているのが、「液化炭酸ガス」や「ドライアイス」等の既存用途である。海外でも市場黎明期には、植物工場や炭酸飲料など、直接利用(CCU)を中心に需要を獲得した例がある。これらの原料となるCO2の大半(年間100万トン程度)は国内製造であるが、近年アジアからの輸入量が増加している。年間約2万トンの輸入量すべてをDACに置き換えることが出来れば、年間5億円程度の市場創出が可能となる(販売単価を24,000円/トンと想定)。
GX実現のためには、多数のGX技術を対象として、あくまで「技術中立的」に市場インセンティブを与えることが重要である。他方、現時点のDACコストは日本や諸外国で導入されているカーボンプライシングの水準を大きく上回るため、早期の投資に対する収益性が低いことが課題となっている。
このような課題への対応策として、例えばカナダでは、DACやCCUSに対する税額控除を措置しており、制度初期には控除率を高く設定し、後期は引き下げることで、事業者の早期投資を促すインセンティブとしている。
今後、国はDAC産業創出に向けた課題と取り組みの方向性、ロードマップを取りまとめる予定としている。
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