大気中のCO2を直接吸収する「DAC」、日本での市場創出に向けた施策検討がスタートエネルギー管理(1/4 ページ)

大きなCO2除去ポテンシャルを持つ技術の一つとして期待されている「DAC(大気中のCO2を直接回収する技術)」。経済産業省では新たなワーキンググループを設置し、DACなどの普及拡大や市場創出に向けた具体策の検討を開始した。

» 2024年03月14日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 ネガティブエミッション技術とは、大気中のCO2を回収・吸収し、貯留・固定化することで大気中のCO2除去(CDR:Carbon Dioxide Removal)に資する技術の総称である。全世界でのカーボンニュートラルの達成には、最終的に脱炭素が困難な領域において、ネガティブエミッション技術(NETs)で対応することが必要と考えられており、IEAやIPCC等の複数の機関によると、2050年には世界全体で、年間約20〜100億トンのCO2除去が必要と試算されている。

 NETsには、植林やブルーカーボン管理など様々な技術があるが、最も大きなCO2除去ポテンシャルを持つ技術の一つがDAC(大気中のCO2を直接回収する技術)と、地下等への貯留技術を組み合わせたDACCSである。

図1.DACとDACCSの対象範囲イメージ 出典:DACワーキンググループ

 経済産業省は2023年に「ネガティブエミッション市場創出に向けた検討会」を開催してきたが、2024年1月には同検討会の下に「DACワーキンググループ」を設置した。DACワーキンググループ(WG)では、以下の4点に関する検討を行い、4月以降にWGとしてのレポート案を提示する予定としている。

  1. 国内外におけるDACのルール形成に関する動向
  2. DACのライフサイクル評価及び算定方法論の開発
  3. DAC市場創出に向けて必要なルールの開発や、国際動向を踏まえた発展の方向性
  4. その他、DAC市場創出に向けた今後の取り組み方針
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