万が一を想定した「計画停電」への備え、2024年度以降の実施スキームが公表エネルギー管理(1/4 ページ)

広域的な大規模停電(ブラックアウト)を回避し、電力需給のバランスを保つために実施する「計画停電」。このほど資源エネルギー庁や広域機関は非常時を想定し、一般送配電事業者10社とともに「万一の際の備えとしての計画停電の考え方」を取りまとめた。

» 2024年04月17日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 電力を安定して供給するためには、電気の需要と供給のバランスを常に一致させる必要があり、万が一、このバランスが大きく崩れた場合、連鎖的に発電機が停止し、広域的な大規模停電(ブラックアウト)が生じるおそれがある。このため、震災等により需給逼迫となった場合、電力広域的運営推進機関は、一般送配電事業者・発電事業者・小売電気事業者と協調し、追加の供給力を確保するなどして需給状況の改善に努めている。

 しかしながら、あらゆる需給対策を実施してもなお、予備率が1%を下回ると見込まれる場合は、ブラックアウトを回避するために、対象を限定した計画停電を実施することとしている。

図1.電力需給逼迫時の追加供給力対策 出典:電力・ガス基本政策小委員会

 2024年度以降は計画停電についても、広域的な実施判断が行われるため、資源エネルギー庁や広域機関は一般送配電事業者10社と、「万一の際の備えとしての計画停電の考え方」を取りまとめた。

広域予備率による電力需給の管理

 東日本大震災後、電力システム改革の一環として2015年に電力広域的運営推進機関が設立され、全国大での効率的な設備形成・需給運用を目指し、地域間連系線の整備が進められるとともに、電力の広域的な需給管理・運用が段階的に行われてきた。

 また2022年度以降、一般送配電事業者による電力需給運用は、以前のようなエリア単位の予備率ではなく、地域間連系線を最大限活用した「広域ブロック」単位での「広域予備率」管理を行うことが原則となっている。

 「広域予備率」とは、エリア間で供給余力を融通することで均平化した予備率であり、広域予備率が等しくなるエリアは1つの広域ブロックとなり、広域予備率が等しくならない場合は複数の広域ブロックが形成される。

図2.50Hz系統と60Hz系統が別々の広域ブロックになる例 出典:広域機関

 2023年度まで広域予備率の週間計画の見通しは、毎週木曜日に広域機関が算定・公表後、電力需給が厳しくなると見込まれる場合を除き、更新を行っていなかったが、2024年度以降は、毎日、翌々日の広域予備率の見通しを更新するとともに、広域予備率の低下が見込まれる場合は、広域機関から発電事業者への通知等により、供給力増大に向けた事業者の自発的な行動を促すこととした。

図3.広域予備率の見通し公表 出典:電力・ガス基本政策小委員会
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