万が一を想定した「計画停電」への備え、2024年度以降の実施スキームが公表エネルギー管理(3/4 ページ)

» 2024年04月17日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

2024年度以降の計画停電の実施方法

 現在、計画停電は原則不実施としているが、あらゆる需給対策を実施してもなお、広域予備率が1%を下回ると想定される場合は、ブラックアウトや需要遮断を避けるために、計画停電を実施するとされている。

 もし計画停電を行わなかった場合には、発電量不足による周波数低下に伴い、自動的かつ突然に広範囲の需要が遮断されることとなる。このような需要遮断を重ねても周波数の回復が得られない場合には、ブラックアウト(全系停電)に至ることとなる。

 このような突然かつ広範囲の停電は社会的影響が極めて大きいため、地理的範囲や実施時間帯をあらかじめ計画して公表する計画停電を行うことにより、市民はあらかじめ備えることが可能とされている。

図5.需給逼迫の見通しから計画停電発表までの流れ 出典:電力・ガス基本政策小委員会

 2024年度以降、電力の需給運用は広域ブロック単位で行われているため、計画停電についても、広域予備率に基づいて実施を判断し、広域ブロック単位で実施される。広域ブロック単位、つまり、複数のエリアで計画停電を実施するためには、エリア間での計画停電量の分担方法について整理する必要がある。

 なお、従来のエリア単位での計画停電においても、以下の2つが実施方法として定められており、これは広域ブロック単位の計画停電においても変更はない。

  • エリア内の需要家をサブグループに分割し、不足が見込まれる電力の大きさに応じてサブグループ単位で停電する
  • 1つのサブグループは、2時間を「1時間帯」として停電する
図6.各エリアにおける計画停電実施方法の例 出典:東京電力パワーグリッド

 例えば東京エリアでは、36のサブグループが設定されているが、具体的なサブグループ構成は平時には非公開である。計画停電前に自身が属するサブグループを正確に確認するには、原則、供給地点特定番号(22桁)が必要となるため、需要家自身の備えとして、あらかじめ供給地点特定番号を把握しておくことが望ましい。

表3.広域的な計画停電における基本事項 出典:調整力及び需給バランス評価等に関する委員会

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