洋上風力入札の“第2ラウンド”、公募結果の分析と各事業のポイント第24回「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」(1/3 ページ)

再エネ海域利用法に基づく洋上風力発電事業の入札について、いわゆる“第2ラウンド”の結果がすべて出揃った。第24回「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」では、公募結果のポイントとともに、各選定事業者へのヒヤリングが行われた。

» 2024年05月13日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 国は再エネ主力電源の一つとして洋上風力発電を推進しており、2030年までに10GW(稼働ベースで5.7GW)、2040年までに30〜45GWの案件形成目標を掲げている。

 これまで、再エネ海域利用法に基づき10の促進区域が指定されており、経済産業省及び国土交通省はいわゆる第2ラウンドの4海域について、2022年12月から2023年6月まで公募を行ったところ、4区域に対して12事業者が公募占用計画の提出を行った。

 「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」、「新潟県村上市及び胎内市沖」、「長崎県西海市江島沖」の3海域については2023年12月13日付けで選定結果が公表されたが、「秋田県八峰町及び能代市沖」は、港湾の利用重複が生じていたため、再提出された計画に基づき、2024年3月22日に選定結果が公表された。

表1.再エネ海域利用法 第1・第2ラウンドの選定結果 出典:洋上風力促進WG

「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」の第24回会合では、第2ラウンド公募結果のポイントが報告されるとともに、第2ラウンド選定事業者へのヒアリングが行われた。

第2ラウンド公募結果のポイント

 再エネ海域利用法公募では、応募事業者が提出した公募占用計画の審査にあたり、価格点では120点満点、事業実現性評価点では120点満点の、合計240点満点で評価が行われる。

図1.公募占用計画の評価方法 出典:洋上風力促進WG

 価格点は原則、「最低入札価格/提案価格×満点(120点)」の式により算出されるが、事業者が提案するFIP基準価格が市場価格を十分に下回る一定価格(ゼロプレミアム水準)以下の場合は、一律に120点として評価される。今回、ゼロプレミアム水準はあらかじめ3円/kWhと設定されている。第2ラウンド公募では、12事業者のうち9事業者は、ゼロプレミアム水準で入札した。

 また、事業実現性のうち「事業計画の迅速性」は20点満点が配分されており、運転開始時期に応じてあらかじめ決められている基礎点に、事業計画の基盤面・実行面(合計40点)の得点率を乗じて算出される。今回、全参加者(4区域・12事業者)が2030年度以前の運転開始を計画しており、結果として、4区域全てにおいて、各区域で最も運転開始時期の早い事業者が選定された。

 事業実現性のうち「地域経済への波及効果」及び「国内経済への波及効果」はそれぞれ10点満点が配分されており、地元(県内)雇用がどの地域にどの程度増加するか、地元に工場等がどの程度作られ、どの程度投資が促進されるか、地元の物流拠点等に対する需要がどの程度拡大するか等が評価される。

 第2ラウンド4区域の選定事業者が提出した計画における、地域・国内経済への波及効果を抜粋し集計したものが、表2である。4区域の合計で、地域経済への生産誘発額は1.8兆円、地域雇用者誘発数は9.4万人に上ると試算されている。

表2.選定事業者計画における地域・国内経済への波及効果 出典:資源エネルギー庁選定結果を基に筆者作成
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