洋上風力入札の“第2ラウンド”、公募結果の分析と各事業のポイント第24回「洋上風力促進ワーキンググループ(WG)」(2/3 ページ)

» 2024年05月13日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「秋田県八峰町及び能代市沖」区域の評価結果

 「秋田県八峰町及び能代市沖」区域では、3事業者が応札し、合同会社八峰能代沖洋上風力が240点満点で選定された。当該SPCの構成員は、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社、イベルドローラ・リニューアブルズ・ジャパン株式会社、東北電力株式会社である。イベルドローラはスペイン最大の電力会社であり、グループ全体で洋上風力発電1.8GWを保有している。

表3.「秋田県八峰町及び能代市沖」区域の評価結果 出典:洋上風力促進WG

 再エネ海域利用法公募では、各促進区域内海域と一体的に利用できる港湾をあらかじめ公募占用指針で示しているが(第2ラウンドは表4のとおり)、秋田県八峰町及び能代市沖の選定事業者は、今回初めてそれ以外の港湾として室蘭港を、洋上風車の建設段階において利用する計画としている。

表4.各促進区域内海域と一体的に利用できる港湾 出典:第2ラウンド公募占用指針

 選定事業者は主要設備である風車として、Vestas社製 V236(単機容量15MW)を選定している。当該機種は、4区域に応札した12事業者のうち10社(選定事業者の3社)が利用計画としている大型風車である。年間計画発電量から逆算すると、同社では年間設備利用率を33.9%と想定していると考えられる。

図2.合同会社八峰能代沖洋上風力の設備概要 出典:合同会社八峰能代沖洋上風力

 同社では、各種工事への県内企業の確実な起用や、県内企業と連携したO&M業務の現地化、洋上風力発電事業関連の企業マッチング、洋上風力関連人材の育成、電力の地産地消等を通じて、地域経済波及効果として生産誘発額9,450億円と試算している。地域共生策の具体化は、今後の法定協議会において決定される。

図3.本事業による地域経済波及効果 出典:合同会社八峰能代沖洋上風力

「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」区域の評価結果

 「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」区域では、3事業者が応札し、男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアムが240点満点で選定された。当該SPCの構成員は、株式会社JERA、電源開発株式会社、伊藤忠商事株式会社、東北電力株式会社である。

表5.「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」区域の評価結果 出典:洋上風力促進WG

 運転開始予定時期は、4区域・12事業者の中で最速の2028年6月30日を計画している。同社では、基礎据付の施工と風車据付の施工を異なる事業者に発注し、SEP船(自己昇降式作業台船)を2台用意することにより洋上工事を1年で終わらせることが、工期短縮の鍵と説明している。

図4.選定事業者のスケジュール 出典:男鹿・潟上・秋田Offshore Green Energyコンソーシアム

 「洋上風力産業ビジョン」(2020年12月)において産業界は、2040年までに国内調達比率 60%達成を目標としているが、コンソーシアム構成員であるJERAが出資する石狩湾新港洋上風力事業(11.2万kW。2024年1月運開)では、すでにこの目標を達成したことが報告されている。「秋田県男鹿市、潟上市及び秋田市沖」事業においても、県内O&M会社を設立し、O&M業務を内製化すること等により、早期の国内調達比率の更なる向上を計画している。

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