脱炭素電源に対する長期目線での投資促進を目的に開設された「長期脱炭素電源オークション」。初回入札の結果を踏まえ、次回の第2回入札におけるインセンティブの在り方や募集量、上限価格の見直しについて検討が行われた。
脱炭素電源への新規投資を促進するため、長期的な収入の予見可能性を与える仕組みである「長期脱炭素電源オークション」が2023年度から開始され、2024年1月に開催された第1回入札では、脱炭素電源が401万kW、LNG火力が約576万kW落札した。
脱炭素電源の応札量は募集量400万kWの約2倍・781万kWとなったが、既設火力の改修案件は応札量が募集上限(100万kW)を下回り、募集上限のない新設・リプレースは、応札全量が約定となった。
本オークションを活用しつつ、脱炭素電源への新規投資を一層促進していくためには、一定の応札量を継続的に確保していくことが重要である。そこで、資源エネルギー庁の制度検討作業部会では今年度の第2回入札に向けて、インセンティブの在り方や募集量、上限価格の見直しについて検討が行われた。
長期脱炭素オークション制度(以下、長期AX)は、大規模脱炭素電源の初期投資が巨額であるため、その投資回収に対して長期的な収入の予見性を与えることを目的とした制度である。また、入札価格の監視や運転開始後の他市場収益の長期的な還付手続きなどが必要であるため、制度の運用コストは相対的に高額となる。
このため、相対的にファイナンスや投資判断が容易な小規模電源は本制度の対象としておらず、オークションでは原則10万kW(送電端設備容量ベース。以下同様)の最低入札容量を設けている。
ただし蓄電池は現時点、大規模案件が少数であることから、直近の導入状況を踏まえ「1万kW」を第1回入札の最低入札容量とした。なお揚水発電は、蓄電リソースとして蓄電池と同じ商品区分に位置付けられていることから、両者の競争条件を揃えるべく、最低入札容量を1万kWとしていた。
第1回入札の結果、蓄電池応札の設備容量は平均3.5万kWであり、案件規模の拡大が進んでいることが確認された。
また一般水力(新設・リプレース)は、第1回入札では原則どおり10万kWを最低入札容量としていたが、FIT/FIP制度の対象規模(3万kW未満)との「空白」を埋めるため、第2回入札では最低入札容量を「3万kW」に変更する予定としている。
これらを踏まえ、第2回入札では、蓄電池・揚水の最低入札容量を「3万kW」に引き上げることとした。
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