2050年カーボンニュートラルを目指し、現存する約1.2億kWの化石電源の全てを今後20年程度(建設リードタイムを含め30年程度)で脱炭素電源に置き換えていくならば、年平均で約600万kW程度の新規脱炭素電源の導入が必要となる。
他方、今後の技術革新によりコスト効率的に脱炭素電源を導入できる可能性もあるため、長期脱炭素オークション制度(以下、長期AX)の初期段階では、スモールスタートとして募集量400万kWを設定することとした。
先述のとおり、第2回入札から「既設原発の安全対策投資」や「3万kW以上10万kW未満の一般水力」が新たに本制度の対象に追加されることにより、応札容量は数百万kWレベルで大幅に増加する可能性がある。
また今後10年間の電力需要は、データセンターや半導体工場の新増設等により、大幅に増加すると見込まれている。昨年度までは、人口減少や節電・省エネ等により電力需要の減少を見込んでいたことと比べると、電源投資の必要性は昨年以上に高まっている。
以上より、第2回入札における脱炭素電源の募集量は、「500万kW(応札容量ベース。以下同様)」に増加させることとする(第1回:400万kW)。
第1回入札では、「既設火力の改修案件」は必ずしも短期的な供給力の増加には寄与しないことや、「蓄電池・揚水」は供給力としての価値が限定的であることを踏まえ、それぞれ100万kW(全体の1/4)の募集上限を設定していた。
よって第2回入札についても、電源種(商品区分)による募集上限の必要性が検討された。まず「既設火力の改修案件」は、第1回入札の応募容量(=落札容量)が82万kWと、募集上限の100万kWに届かなかったが、引き続き水素・アンモニア等への投資を促進するため、第1回入札と同じ水準の募集上限とする。
「蓄電池・揚水」は、第1回入札では募集上限100万kWを大きく超える540万kWの応札があったことを踏まえ、募集上限を増加させた上で、『運転継続時間が3時間以上6時間未満』の案件と『運転継続時間が6時間以上』の案件それぞれの商品区分ごとに、募集上限を設ける。図6がその全体像である。
落札電源の総容量が脱炭素電源の募集量に達せず、募集枠に残りがある場合、第1回入札と同様に、募集上限を超えて落札処理とする。ただし「蓄電池・揚水」については、募集上限を超えて落札するのは最大でもそれぞれの募集上限の2倍までとする。
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