一部で条件見直しも、第2回「長期脱炭素電源オークション」の募集容量と変更点第94回「制度検討作業部会」(2/4 ページ)

» 2024年07月12日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

「蓄電池・揚水」の応札区分の細分化

 今後の変動性再エネ電源の導入拡大を見据え、長周期変動にも対応しやすい長時間の運転継続ができる蓄電池の導入を促進していくことが重要である。

 他方、長期AX制度はkW当たりの価格で評価・競争する仕組みであるため、長時間の運転継続が可能な蓄電池よりも、短時間しか運転継続できない蓄電池の方が価格面で有利であり、落札しやすい状態となっている。

 また、第1回入札における蓄電池の応札量は約456万kWと、「蓄電池・揚水」の、募集上限100万kWを大きく超えており、応札のハードルは十分に低いものであったと考えられる。

 よって第2回入札において、「蓄電池・揚水」については、『運転継続時間が3時間以上6時間未満』の案件と『運転継続時間が6時間以上』の案件の2つの商品区分を設けることとする。これらの応札上限価格は、6時間未満案件では第1回入札の上限価格と同様に算定し、6時間以上案件は建設費が2倍となる前提で算定を行う。

 なお蓄電池については、資源エネルギー庁による蓄電池導入支援事業(補助金)と整合性のある形で、事業規律の確保を求めることとする。

表3.蓄電池に対する事業規律の例 出典:制度検討作業部会

既設原発の安全対策投資案件の追加

 すでに別稿『長期脱炭素電源オークション、既設原発の安全対策投資も対象に』で記したとおり、原子力については、第1回入札では新設・リプレースのみが対象であったが、第2回入札では「既設原発の安全対策投資案件」、具体的には2013年7月施行「新規制基準」に対応するための投資案件についても、本制度の対象に追加された。

図4.既設原発安全対策投資のオークション対象 出典:制度検討作業部会

 「既設原発の安全対策投資」は、新設・リプレース案件と同様に、その投資によって発電所全体のkWが新たに供給力として活用できるようになるものの、最初の運転開始から既に一定期間経過している点が、純粋な新設・リプレース案件とは異なる。よって、脱炭素電源の新設・リプレースを着実に進める観点から、既設原発の安全対策投資案件については、一定の募集上限を設定する。

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