事業者のCO2排出量算定、「新・基礎排出係数」では非化石証書・J-クレジットを反映可能に第9回「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度における算定方法検討会」(1/4 ページ)

一定量以上の温室効果ガスを排出する事業者に対して、排出量の算定や国への報告などを義務付ける「SHK制度」。現在、同制度におけるCO2排出係数の算定方法の見直しが進んでいる。新たな制度においては、事業者が調達した非化石証書やJ-クレジットなども反映可能になる見通しだ。

» 2024年06月26日 07時00分 公開
[梅田あおばスマートジャパン]

 「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(SHK制度)」は、温対法(地球温暖化対策の推進に関する法律)に基づき、温室効果ガス(GHG)を一定量以上排出する事業者(特定排出者)に、自らの排出量の算定と国への報告を義務付け、報告された情報を国が公表する制度である。

 SHK制度では、排出者自らが排出量を算定することによる自主的取り組みのための基盤の確立と、情報の公表・可視化による国民・事業者全般の自主的取り組みの促進・気運の醸成を目的としている。

図1.SHK制度の算定・報告から公表までの流れ 出典:SHK制度算定方法検討会

 SHK制度において、特定排出者が電気の使用に伴うCO2排出量を算定する際は、電気を購入する小売電気事業者のCO2排出係数を用いるが、現行の排出係数には、燃料のCO2排出量から算出する「基礎排出係数」と、非化石証書等の環境価値取引を反映した「調整後排出係数」の二種類が存在する。

 ところが、現行の基礎排出係数では、費用負担と得られる環境価値(排出削減効果)の間に齟齬(そご)が生じていることから、新たな排出係数を設けると共に、従来の排出係数の名称を変更することとした。

現行の電気の排出係数算定方法

 SHK制度では、エネルギー起源CO2の直接排出量については、国家インベントリの算定方法を踏まえ、省エネ法と共通の算定方法としているが、電気の使用に伴うCO2の間接排出量については、SHK制度で独自に設定している。ここでは、SHK制度の目的である「自主的取り組み」を促進するため、事業者の削減努力を可能な限り反映することが重視されている。

 小売電気事業者による現行の排出係数算定式は図2のとおりであり、化石燃料の燃焼により発生する基礎CO2排出量を販売電力量(使用端)で割ることにより、基礎排出係数が算定される。証書やクレジット等の環境価値という概念が生まれる以前は、このような物理的、素朴な基礎排出量(排出係数)が現実とも一致していた。

 この基礎排出量に、FIT電気の買取量に応じた排出量の加算や、非化石証書等の環境価値調達による減算をした上で、販売電力量で割ることにより調整後排出係数が算定される。小売電気事業者は環境価値調達量等の大小により、料金メニュー別に複数の調整後排出係数を設けることが可能である。

図2.現行の電気の排出係数算定方法 出典:SHK制度算定方法検討会

 なお、FIT電気の環境価値(CO2ゼロエミ価値)は、再エネ賦課金を支払う需要家に帰属すると整理されているため、環境価値を持たないFIT電気は、全国平均排出係数が用いられる。この裏返しとして、FIT非化石証書によるCO2削減効果は、全国平均排出係数相当とされている。

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