日本は今後、ノンファーム型接続とN-1電制を同時適用していくことから、同時市場の実現が想定される2030年頃においては、平常時運用容量200%で地内混雑が発生することも想定される。
地域間連系線においては、熱容量等、同期安定性、電圧安定性、周波数維持の4つの制約要因の限度値のうち、最も小さいものにより運用容量(上限値)を設定している(図8)
地域間連系線を流れる潮流は、時々刻々と変化する需要変動や発電機制御遅れによる応動等が瞬時的な潮流変動(フリンジ)として表れ、連系線の指令実績と潮流実績は完全には一致しない。このため、同期安定性・電圧安定性の限度値で運用容量が決まる連系線では、想定事故時の安定性を維持する上での限界潮流(安定限界潮流)からフリンジ分を減算している(図9)。
他方、エリア内送電線の運用容量については、安定限界潮流の考え方は地域間連系線と同様であるものの、フリンジの取り扱いは、エリアにより一部異なることが明らかとなった。
同時市場においては、現行の地域間連系線とエリア内送電線の明確な区分けが無くなることを踏まえると、両者の考え方を統一することが望ましいため、エリア内送電線でもフリンジを考慮して、ΔkW確保エリア内の混雑へ対応することとした。
現行の需給調整市場においては、火力等の複数機能を有するリソース(単一リソースで複数商品に入札可能なリソース)に対して、商品(事象)の「不等時性」を考慮した複合約定ロジックを採用し、調達量の低減を図っている。
しかしながら、複合約定ロジックは複雑であるため、計算能力(計算時間)が制約となり、同時市場の同時最適化ロジックにそのまま採用することが出来ない。そこで調整力作業会では、一定の割り切りのもと、商品ごとの必要量が全て重複している(同時発生しない)ものとして扱うことにより、簡易的な複合約定ロジックの導入が可能と整理した。
過去実績調査の結果、GF・LFCは同時発生しない傾向があり、EDCについても多くのエリアでは、GF・LFCと同時発生しない傾向が確認された。また同時市場では、ΔkW確保エリアを拡大することにより、最大誤差が同時発生する可能性は現状より低減すると考えられるためである。
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