現行の需給調整市場において、調整力は5つの商品に区分され(表2)、それぞれ要件が定められている(※赤文字は2025年度以降の要件変更予定)。
同時市場において、系統制約を考慮した上で、起動費、最低出力費用、限界費用が最経済となるように起動停止計画(SCUC)を策定するためには、高い計算能力が必要とされる。このため、SCUCの計算負荷をなるべく低減し、計算時間を短縮するためには、調整力の商品を集約し、商品区分を減らすことが有効であるため、調整力商品区分の見直しが検討された。
このうち、二次調整力②と三次調整力①はいずれも、比較的長時間の負荷変動に対応するEDC(経済負荷配分制御)であり、GC以降の予測誤差に対応した調整力である。機能・要件の近いこれら2つの商品は、集約することが可能と判断された。
また三次調整力②は、前日〜GCのFIT再エネ予測誤差に対応するために設定された、やや特殊な調整力であるが、EDC領域の商品として前二者と共通点も多いため、これも集約することとした。
異なる区分の商品を統合集約するに際しては、リソースの新規参入の妨げとならないことが重要であるため、新商品の要件は低スペック商品側に合わせることが重要となる。
ただし、単純に商品要件を下げると、肝心の周波数品質が悪化するおそれがあるため、高機能なリソースに対しては、より高い対価を支払うインセンティブを付与することでこれに対処する。
具体的には、制御指令から5分後(次期中給システムにおけるEDCの指令間隔)を中間点として設定し、中間点における応動実績量が指令ΔkWの半分を上回るかどうか(現行の二次②の半分以上の能力を有するかどうか)を一つの基準とし、グループ分けを行う。
高性能なグループAに対しては、優先約定のインセンティブを与えることにより、周波数品質の維持に努める。
時間内変動に対応するための高速商品である一次調整力と二次調整力①は、要件の統一が困難と判断され、集約は行わない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.