日射量が全国トップクラスの高知県に、設備利用率13%超のメガソーラーを2つ建設自然エネルギー

全国で30カ所を超えるメガソーラーを運営するNTTファシリティーズが高知県の香南市に2つのメガソーラーを相次いで建設する。発電規模は合計で4MWになり、一般家庭で1300世帯分を超える電力を供給できる。豊富な日射量を生かして、設備利用率は全国標準の13%を上回る見込みだ。

» 2014年08月26日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 土佐湾に面した高知県の香南市(こうなんし)は南海式の気候で雨が少なく、日射量が豊富だ。同じ地域にある高知市が全国でもトップクラスの日射量を誇るように、この一帯は太陽光発電に極めて適している(図1)。

図1 太陽光発電システムの年間発電量(左)、主要都市の日射量と日照時間(右)。出典: 高知県林業振興・環境部、NEDO

 全国各地に太陽光発電設備を拡大しているNTTファシリティーズが、香南市内の2カ所に相次いでメガソーラーの建設を決めた。いずれも土佐湾から2〜3キロメートルほどの場所で、周辺に農地の広がる平野部である。

 2つのうちで規模が大きい「F香南山北太陽光発電所」の工事を8月21日に開始した。発電能力は2.5MW(メガワット)で、年間の発電量は304万kWhを見込んでいる。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は13.8%と高く、固定価格買取制度で最新の標準値とされている13%を上回る。一般家庭で約840世帯分に相当する電力を供給できて、2015年2月に運転を開始する予定だ。

 もう1つの「F香南野市太陽光発電所」は発電能力が1.5MWで、年間の発電量は180万kWhになる。一般家庭で500世帯分の電力使用量に相当する。9月11日に工事を開始して、2015年3月に運転を開始する計画である。このメガソーラーも設備利用率は13.5%になり、標準値を上回る高い発電効率を発揮する。

 NTTファシリティーズはメガソーラーの効率を高めるために、発電設備の電圧を従来の600V(ボルト)から1000Vに引き上げたシステムの導入を推進している(図2)。茨城県で2014年3月に運転を開始した「F土浦太陽光発電所」で初めて1000Vの発電設備を導入した。香南市に建設する2カ所のメガソーラーにも同様のシステムを採用する。

図2 電圧を1000Vに高めた太陽光発電システムの構成パターン。出典:NTTファシリティーズ

 発電設備の電圧を高めることによって、電力を直流から交流へ変換するためのパワーコンディショナ(PCS)などの台数を削減できて、メガソーラーの建設コストを抑えることが可能になる。さらに設備の中で失われる電力の損失量が少なくなり、実際に売電できる電力量を増加させるメリットもある(図3)。

図3 高電圧化による発電システムの効率改善。出典:NTTファシリティーズ

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