今後も安定した供給状態が見込めるLNGと石炭に対して、原油は引き続き不安定な要素が多い。日本が原油を輸入している相手国はサウジアラビアの30.4%を筆頭に、アラブ首長国の22.1%、カタールの11.4%など、中東の国々で約8割を占める(図8)。これからも価格が上昇する傾向は続きそうだ。
世界全体の原油の生産量のうち3分の1は中東である(図9)。2000年以降も着実に生産量を増やしている。しかも埋蔵量では世界の半分近くが中東にある(図10)。原油を中東に依存する状況は長期的にも変わることはないだろう。日本のエネルギーコストを削減するためには、火力発電はLNGと石炭へ、輸送車両は電気自動車や燃料電池自動車へ移行することが重要になってくる。
こうしたエネルギーの市場に大きな変化をもたらすとしたら、シェールガスやシェールオイルなどの新しいタイプの化石燃料に期待がある。シェールガスの資源量はLNGに換算して約1兆5000億トン以上が見込まれている(図11)。日本の年間のLNG輸入量(8700万トン)と比較して、1万7000倍にものぼる膨大な資源量になる。
その一方で日本の近海でも、天然ガスを含む「メタンハイドレート」が大量に存在する可能性が高まってきた。政府は2020年代にメタンハイドレートから天然ガスの商業生産を開始できるように、埋蔵量の調査や掘削方法の研究開発を進めている。日本がエネルギーの自給率を高める方法は広がりつつある。
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