日本の天然ガスと石炭はオーストラリア産が最大、原油の中東依存は変わらずデータで見る世界と日本のエネルギー事情(4)(2/2 ページ)

» 2014年09月01日 13時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]
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原油は生産量・埋蔵量ともに中東が最大

 今後も安定した供給状態が見込めるLNGと石炭に対して、原油は引き続き不安定な要素が多い。日本が原油を輸入している相手国はサウジアラビアの30.4%を筆頭に、アラブ首長国の22.1%、カタールの11.4%など、中東の国々で約8割を占める(図8)。これからも価格が上昇する傾向は続きそうだ。

図8 日本の原油輸入国。出典:資源エネルギー庁(経済産業省の資料をもとに作成)

 世界全体の原油の生産量のうち3分の1は中東である(図9)。2000年以降も着実に生産量を増やしている。しかも埋蔵量では世界の半分近くが中東にある(図10)。原油を中東に依存する状況は長期的にも変わることはないだろう。日本のエネルギーコストを削減するためには、火力発電はLNGと石炭へ、輸送車両は電気自動車や燃料電池自動車へ移行することが重要になってくる。

図9 地域別の原油生産量。出典:資源エネルギー庁(英国BPの資料をもとに作成)
図10 地域・国別の原油埋蔵量(2012年末)。出典:資源エネルギー庁(英国BPの資料をもとに作成)

 こうしたエネルギーの市場に大きな変化をもたらすとしたら、シェールガスやシェールオイルなどの新しいタイプの化石燃料に期待がある。シェールガスの資源量はLNGに換算して約1兆5000億トン以上が見込まれている(図11)。日本の年間のLNG輸入量(8700万トン)と比較して、1万7000倍にものぼる膨大な資源量になる。

図11 シェールガスとシェールオイルの資源量(画像をクリックすると拡大)。出典:資源エネルギー庁(米国エネルギー情報局の資料をもとに作成)

 その一方で日本の近海でも、天然ガスを含む「メタンハイドレート」が大量に存在する可能性が高まってきた。政府は2020年代にメタンハイドレートから天然ガスの商業生産を開始できるように、埋蔵量の調査や掘削方法の研究開発を進めている。日本がエネルギーの自給率を高める方法は広がりつつある。

第5回:「日本の電気料金は欧米の約2倍、ガス料金では米国が圧倒的に安い」

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