化石燃料を輸入に頼る日本の電気料金は欧米の先進国と比べて約2倍の水準だ。震災後に相次いだ値上げが影響して、電力需要は減り続けている。一方で販売量が伸びているガスの料金は米国の4倍以上も高い。天然ガスの輸入拡大によって電力とガスの両方が安くなる期待は大きい。
第4回:「天然ガスと石炭はオーストラリア産が最大、原油の中東依存は変わらず」
日本の電気料金は東日本大震災の後に2割ほど上昇したが、その影響を除いても先進国の中では際立って高い。工場などで利用する産業用は米国の約3倍にもなる(図1)。家庭用の電気料金は税率の高いドイツを下回っているものの、米国・英国・フランスとは産業用と同様に大きな開きがある。
さらにガス料金になると各国との差はいっそう広がってしまう。先進国の中で最も安い米国と比べると、産業用では7倍以上、家庭用でも4倍の高さだ(図2)。日本は化石燃料のほとんどを海外に依存しているために、輸入価格が高めに設定されていることも大きな要因になっている。
今後は北米から天然ガスの輸入が始まることもあって、ガス料金が低下していく可能性は大きい。同様に電気料金の値下がりも期待できる。実際のところリーマンショックが起きた2008年までは、日本の電気料金は長年にわたって下落傾向を続けていた。
家庭向けの「電灯」の単価を見ると、1995年に1kWhあたり24円台だったのが2007年には20円台まで下がっている(図3)。リーマンショックが過ぎた2009年から再び値下がりが進んだ後に、2011年の震災以降に一気に2割以上も上昇した。電力会社の値上げが2013年度に相次いだことから、2014年度も上昇する可能性が大きい。
ただし2015年度からは燃料費の低下が見込まれることに加えて、2016年度には小売全面自由化が始まるため、再び下落傾向に転じることは十分に予想できる。おそらく2020年になれば、震災前の2010年の価格に近い水準まで下がるだろう。
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