再生可能エネルギーの固定価格買取制度が早くも見直しを迫られる状況になってきた。2014年6月に買取制度の認定を受けた発電設備の規模が31万kWに減り、発電事業者の取り組みが急速に縮小している。電力会社による接続保留の動きも広がり始め、先行きが不安視される。
固定価格買取制度を通じて2014年6月に運転を開始した発電設備は合計66万kWで、過去1年間と同様のペースで伸び続けている(図1)。ところが新たに買取制度の認定を受けた発電設備は31万kWにとどまり、制度が始まってからの2年間で最低の水準に落ち込んだ。5月も前月から大幅に減って46万kWだったが、それを下回る不振な状態に陥っている。
再生可能エネルギーの種類別に見ると、月間に100万kWを超える発電設備の認定が続いていた太陽光が26万kWに縮小している。4月の270万kWから5月に28万kWへ急減して、さらに6月に減少した。7月以降も低い水準で推移する可能性が大きい。
しかも九州電力が需給バランスの問題を理由に9月25日から発電設備の接続申し込みを保留したのに続き、北海道・東北・四国の3電力会社も10月1日から同様の措置をとる。各社の接続保留は少なくとも12月末まで続く見通しだ。他の地域にも波及することは確実で、全国の発電事業者の導入意欲を損ねる事態になっている。
経済産業省は2012年7月に固定価格買取制度を開始して以降、発電設備の運転・認定状況を月次で集計して、都道府県別の設備容量も把握してきた。監督官庁として電力会社から供給計画の届け出を毎年度末に受ける立場にあり、再生可能エネルギーの導入状況と合わせて需給バランスの問題は早い時期から認識できていたはずである。電力会社とともに対応が遅れたことは重大な判断ミスと言える。
日本のエネルギー供給体制を再構築するうえで固定価格買取制度の果たす役割は極めて大きい。買取制度の見直しと電力会社の運用体制の改革を早急に進めて、遅くとも年度末の2015年3月までに事態を改善させる必要がある。
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