144億円をかけて50MWのバイオマス発電、全量を新電力に供給自然エネルギー

古くは焼き物の「古伊万里」の積出港として栄えた佐賀県の伊万里湾に広がる臨海工業団地に、発電能力が50MWのバイオマス発電所を建設する計画が決まった。土地と建物・発電設備を合わせて総投資額は144億円にのぼる。発電した電力は全量を新電力に供給して、需要家に安く販売する。

» 2014年10月24日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 バイオマス発電所は佐賀県で最大の規模を誇る「七ツ島(ななつじま)工業団地」の中に建設する(図1)。発電事業者の日本新電力が地元の佐賀県と伊万里市とのあいだで進出協定を10月16日に締結した。発電能力は50MW(メガワット)を予定していて、国内のバイオマス発電所としては最大級になる。

図1 バイオマス発電所を建設する「七ツ島工業団地」。出典:佐賀県農林水産商工本部

 日本新電力は工業団地にある15万平方メートルの土地を取得して、3基のバイオマス発電プラントを建設する(図2)。土地・建物・発電設備で総投資額は144億円にのぼる見込みだ。燃料には東南アジアから輸入するパームヤシ殻を主に利用する。運転開始は2年半後の2017年3月を予定している。

図2 発電所の建設予定地。出典:伊万里市産業部

 発電した電力は全量を新電力の日本ロジテック協同組合に供給する。日本新電力は日本ロジテック協同組合が2012年に設立した発電事業者である。すでに茨城県内で発電能力10万kWの天然ガス火力発電所の建設を進めていて、2016年6月に運転を開始する計画だ。伊万里市のバイオマス発電所は2カ所目になる。

 日本ロジテック協同組合は新電力の中でもユニークな事業を展開している。約500社の組合員で組織して、「エコサブ」と呼ぶ共同購買方式を通じて電力会社よりも安い料金で電力を販売するのが特徴だ(図3)。2016年4月から始まる小売全面自由化に向けて、電力の調達量を増やして共同購買事業を拡大していく。

図3 電力共同購買事業「エコサブ」の仕組み。出典:日本ロジテック協同組合

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