屋根散水で「危険物」を冷却、太陽光で制御する省エネ機器(2/3 ページ)

» 2014年12月01日 09時00分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

10度の冷却に成功

 施設に屋根散水システムを導入した結果、実際に室温を10℃以上下げる効果を得た。屋根からの熱負荷と放射熱がなくなったからだ。図4と図5はその効果の詳細を示したもの。

 図4では気温(横軸)と室内温度の相関関係を示した。施設内には高さごとに数段に分かれた棚が設置されている。そこで高さの異なる4つの棚を選んで測定した。角度45度の線を見ると分かるように、散水以前(桃色)は気温よりも室内温度が高い部分の方が多かった。散水後は、気温よりも低い部分の方が多い。特に高温だった5段目の温度低下が著しい。

図4 外気温度と室内温度の相関 出典:三井住友建設

 図5は床からの高さ(縦軸)ごとに温度を測定した結果だ。非散水時(赤)と散水時(青)を比較すると、高い位置ほど温度が下がっていることが分かる。屋根内側上部では温度が20度以上下がった。なお、非散水時と散水時は測定した日時が異なる。しかし、気温や日照などの気象条件はほぼそろっていると考えられる*1)

*1) 図5によれば、散水時の方が気温は3度以上高い。なお、気象庁は坂戸市の施設から北西に約8km離れた地域に鳩山地域気象観測所(アメダス)を置いている。鳩山の10分ごとの観測データによれば、2014年6月15日の降水量は0.0mm。日の出から16時まで10時40分台に1分間だけ日照が遮られている。12時ちょうどの気温は28.3度(風速は2.3m)、12時10分の気温は29.4度(同1.2m)だった。2014年9月6日は日の出から曇りがちの天候で、降水量は0.0mm。11時〜12時の間の日照時間は52分間。11時40分の気温は29.6度(同1.6m)、11時50分は30.2度(同1.5m)だった。

図5 散水による室内温度分布の変化 出典:三井住友建設

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