地熱資源が洞爺湖温泉の「宝の山」に、99.8度の高温水でバイナリー発電自然エネルギー

2013年度から地熱資源の開発を進めてきた北海道の洞爺湖町がバイナリー発電の導入プロジェクトを開始する。国の助成金を使って掘削した調査井から99.8度の高温水が大量に湧き出ることを確認した。発電能力が50kWの設備を導入して自家消費と電気自動車の充電源に利用する。

» 2014年12月11日 07時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 洞爺湖町(とうやこちょう)は2000年に噴火した有珠山(うすざん)のふもとにある。観光と農業に大きな被害を受けて復興を進めている中で、2013年度に地熱資源開発の助成金の対象に選ばれた。有珠山の中腹に調査井(ちょうさせい)を掘ったところ、予想以上に大量の高温水が湧き出てきた(図1)。これを「宝の山」に位置づけて、新たな地域再生計画を開始する。

図1 洞爺湖町の地熱資源調査井。出典:内閣官房

 調査井からは99.8度の高温水が毎分505リットルも湧き出る。この高温水を利用できるバイナリー発電設備を導入して、最大50kWの電力を地域に供給する計画だ。40kWを洞爺湖温泉利用共同組合が自家消費するほか、余剰の10kWで電気自動車の充電を可能にする。年間の発電量は28万kWhを見込んでいる。

 さらに発電に使った高温水を温泉に再利用する。有珠山が噴火して以来、ホテルや旅館に供給する温泉の温度が低下してしまい、共同組合がヒートポンプで高温に沸かしてから配湯している。発電後の高温水を利用できるとヒートポンプの運転を停止できて、年間に376万kWhの電力を使わずに済む。発電と温水利用による電力の削減量を合わせると、一般家庭で1100世帯分に相当する。

 洞爺湖町は「洞爺湖温泉『宝の山』プロジェクト」と名づけた地域再生計画を国に提出して、2014年11月28日に認可を受けた。地元の観光協会や温泉利用共同組合などと協議会を立ち上げて、地熱発電事業と温泉供給事業を推進していく。電気自動車用の充電器の設置を含めて、2017年度までに計画を完了する予定だ。

 「宝の山」を発見するきっかけになった地熱資源開発の助成金は1億6350万円にのぼる。国がJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)を通じて2013年度に交付した20件のうちの1つである(図2)。

 この助成金は調査以外の目的に利用できないことになっているため、調査井を発電に転用する場合には返納する必要があった。ただし洞爺湖町が地域再生計画として国の認可を受けたことにより、無償で調査井を発電に使うことが認められた。地熱資源開発の助成金で掘削した調査井を発電に利用する初めてのケースになる。

図2 2013年度の「地熱資源開発調査事業費助成金」の対象になったプロジェクト(太枠は新規採択分。画像をクリックすると拡大)。出典:JOGMEC

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.