東芝など5社は沖縄県と浄化センターにおける消化ガス発電事業について基本協定を結んだ。ガス発電機を導入して、無駄になっていた消化ガスから年間2億円分の電力を生み出す。2016年10月の発電開始を目指す。
浄化センター(下水処理場)では下水汚泥を処理する際に「メタンガス」を多く含む消化ガスが発生する。浄化センター内で熱を生み出すために一部を利用しているものの、未利用部分が多かった*1)。
*1) 消化槽では酸素を必要としない嫌気性細菌の力を借りて、汚泥中の有機物を2段階で分解、メタンや二酸化炭素に変えていく。この際、細菌の活動を保つために30〜35度という温度を維持することが望ましい。消化タンクの加熱に消化ガスを使う「自給自足」が進んでいるものの、消化ガスが余ってしまう。
この消化ガスを使って発電を進めようという事業が、全国各地で立ち上がっている(関連記事1、関連記事2)。
その1つが沖縄県だ。沖縄県には4つの主要な浄化センターがある。既に所内の電力の一部を消化ガスで賄っている那覇浄化センターに続き、宜野湾(ぎのわん)浄化センターと具志川(ぐしかわ)浄化センターでも利用を狙う。この2カ所に対して、2013年に民間企業からの提案募集を進め、6件の応募を受けたという。
今回、事業化が決まったのは宜野湾浄化センター(宜野湾市伊佐)だ(図1、図2、関連記事)*2)。他の4社とコンソーシアムを形成した東芝が、再生可能エネルギー発電事業についての基本協定を締結したと2014年12月12日に発表。2016年10月から20年間の発電を目指す。
*2) 県内の7市町村(浦添市、宜野湾市、沖縄市、北谷町、嘉手納町、北中城村、読谷村)を担当する。下水処理能力は最大11万8000m3/日。2011年度の処理実績は約9万7590m3/日。敷地面積は約5万6000m2。
浄化センターが生み出す消化ガスをガスエンジン発電機に導き、発電する(図3)。発電機の出力は365kW。これを4機用いる。
県によると宜野湾浄化センターにおける消化ガス発生量は9979m3/日(2011年度)。消化ガスの成分は2011年度平均でメタン(66.5%)、二酸化炭素(31.4%)。
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