宜野湾浄化センターの事業では沖縄県の負担が少ない。県は土地利用料(賃借料)と発電機が生み出した温水を受け取る(図4)。
コンソーシアムからなる発電事業者が設備を建設後、県から消化ガスを購入。ガスエンジン発電機を使って発電。固定価格買取制度(FIT)を利用して売電する。東芝は発電機の設備利用率を50%と想定した。すると年間発電量は約640万kWh。これは一般家庭の約1800世帯分に相当する。
さらに二酸化炭素の年間発生量を約4400トン削減でき、これは流域下水道処理から発生する二酸化炭素量の約20%を削減した形になるのだという。
「当社は、1984年に那覇浄化センターへ810kWの発電設備を納入して以来、消化ガス関連の事業をこれまで全国で14件受注している。固定価格買取制度(FIT)を利用して発電する事業は初だ。2014年度中に事業契約と接続契約、設備認定の完了を目指す」(東芝)。
今回の事業では「メタン発酵ガス(バイオマス由来)」という区分で1kWh当たり39円(税別)、20年間の売電が可能だ。「沖縄電力と協議中であり、売電収入は年間約2億円を想定する」(東芝)。
東芝はコンソーシアムの代表として発電事業を運営する他、電気工事と電気設備を担当する。日水コンは設計と施工管理支援を進める。月島機械は機械工事と機械設備を担う。月島テクノメンテサービスは機械設備のメンテナンスだ。沖縄小堀電機は設備の運転管理を扱う。
宜野湾浄化センターの事例では、契約に至った東芝以外に5件の提案があった。それぞれの提案は消化ガスの利用方法が異なる。
まずは消化ガスを発電に使う手法だ。東芝のようにガスエンジンを使う手法以外に、マイクロガスタービンや燃料電池を用いる提案があった。それぞれの方法にはメリット、デメリットがあるという。例えば、燃料電池はガスエンジンよりも効率を高めることができるものの、消化ガスに含まれる硫化水素やシロキサンを事前に除去する必要がある。追加設備が必要になる。
浄化センターでは消化ガスとともに「脱水汚泥」と呼ばれる廃棄物が生まれる。脱水とあるものの、水分の比率が高く、処理に手間が掛かる。そこで、消化ガスを燃料として脱水汚泥を処理する提案もあった。1つは、脱水汚泥を炭化し、固形燃料に変えるというもの。もう1つは脱水汚泥を熱分解して熱分解ガスを生成、加熱に使わなかった消化ガスと混合して発電するというものだ。
この他にも、消化ガスを所内で処理せず、民間の工場などにパイプラインで送り込む手法があるのだという。
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