新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が出力20kW未満の「小形風力発電」のてこ入れに乗り出す。発電機やパワーコンディショナー、支柱を中心に部品を共通化し、導入時の投資コストを3年間で30%削減することが目標だ。
新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が出力20kW未満の「小形風力発電」のてこ入れに乗り出す。2014年度から2018年度の約3年間の研究開発を通じて、小形風力発電の投資コストを30%以上削減することを狙う。NEDOが負担する費用は最大11億円程度。
風力の大型化(関連記事)や、洋上への導入が進む中、あえて小形に取り組む理由はこうだ。
固定価格買取制度(FIT)の対象となる全ての再生可能エネルギー発電のうち、小形風力の買取価格は55円(税別)と最も高額だ。太陽光(10kW未満)の37円や小水力(200kW未満)の25円よりも明らかに優遇されている。それにもかかわらず小形風力の導入が全くといってよいほど進んでいない。資源エネルギー庁の集計によると、小形風力発電(出力20kW未満)でFITの認定を受けた設備の数(新規認定分)は、2014年10月末の時点でわずか31件(認定容量177kW)にとどまっている。
その原因としてNEDOが挙げるものは2つ。風力発電用の部品が標準化されていないことと、風力発電用のパワーコンディショナーに認証制度が存在しないことだ。部品が標準化されていないと、部品の組み合わせが複雑になり、量産効果も働きにくい。風車本体のコストが高止まりしてしまう。パワーコンディショナーの認証制度がないと、電力会社との協議に時間がかかる。いずれも小形風力の導入を抑える方向に働く。部品の共通化と、認証取得の迅速化が必要だ。
30%以上の投資コスト削減のために、「風力発電高度実用化研究開発」を進める。前提条件はこうだ。定格出力を3種類(3kW、5kW、10kW)に分け、風力発電システムの構成を見直す。その上で主に3つの部品の開発を進める。小形風力に適した発電機と、さまざまな風車の特性に合うパワーコンディショナー、発電容量に応じた支柱の開発だ(図1)。
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