2段階で進める独立「水素」電源、コンテナで自由に輸送蓄電・発電機器(1/2 ページ)

東芝は東京で開催された「スマートエネルギーWeek 2015」(2015年2月25日〜27日)において、「水素を用いた自立型エネルギー供給システムH2One」(出力30kW)と、将来構想である「H2Omega」(出力4MW)の内容を展示した。太陽光と水素を組み合わせて独立した安定的なエネルギー源となる。

» 2015年03月05日 12時30分 公開
[畑陽一郎スマートジャパン]

 東芝は東京で開催された「スマートエネルギーWeek 2015」(2015年2月25日〜27日)において、「水素を用いた自立型エネルギー供給システムH2One」のミニチュアを展示した(図1)。2015年4月から川崎市で約6年間の実証試験を予定する設備。水素を用いた世界初の自立型エネルギー供給システムだと主張する。

 設備を設置する川崎マリエン(川崎市川崎区東扇島)は、帰宅困難者の一時滞在施設に指定されている。災害時には350kWhに相当する備蓄水素を利用し、300人の避難者に対して電気と温水を1週間供給する能力がある。BCP(事業継続計画)にも役立つ。通常時は他の蓄エネルギー設備と同様、再生可能エネルギーの出力平準化や余剰電力の蓄電が可能だ。

図1 H2Oneの全体像(クリックで拡大)

 東芝の設備の優位性は2つある。まず、太陽光発電で得たエネルギーを例えば系統に負荷を与えずにそのまま地産地消できること。次に個々の機器を輸送が可能なサイズのコンテナとしてパッケージ化したことだ。一般の小型発電所のように造成や建設が不要であり、必要な土地にいわば「ポン」と置くことができる。

コンテナの組み合わせで動作

 H2Oneは3つのコンテナからなる。各コンテナの寸法は長さ6m、高さ2.3m、奥行き2.438m。世界標準の20フィートコンテナと寸法を合わせ、鉄道やトラック、コンテナ船による輸送を考えた。定員30人程度の小型バスに相当するサイズだ。

 3つのコンテナのうち、2つは水素貯蔵タンクを1つずつ内蔵する。2つ合わせて270Nm3(1気圧、0度換算)の水素を貯蔵できる。実際には0.8MPa(8気圧)で貯蔵しているため、合計した容積は33m3*1)

*1) 0.8MPaで貯蔵しているため、H2Oneから直接燃料電池車(FCV)に水素を充填することはできない。別に(82MPaまで昇圧する)圧縮機と蓄圧器、ディスペンサーが必要だ。「燃料電池車への供給は次の目標だ」(東芝)。

図3 左側のコンテナの内部構成(クリックで拡大)
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