兵庫県の中部にある2つの農業用ため池で水上設置型のメガソーラーが運転を開始した。合計1万枚を超える太陽光パネルを池に浮かべて、920世帯分の電力を供給することができる。水上に設置するためのフロートには、紫外線や腐食に強い高密度ポリエチレンで作ったフランスの製品を採用した。
水上設置型の2つのメガソーラーは、兵庫県の中でも農業が盛んな中南部の加東市(かとうし)に建設した。兵庫県には全国で最も多い4万近い数のため池がある。そのうちの2カ所の水上で3月30日に発電を開始した。
1つ目のメガソーラーは発電能力が1.7MW(メガワット)に達して、現時点では水上式の太陽光発電設備で世界最大の規模になる(図1)。2つ目は少し小さくて1.2MWの発電能力で、両方を合わせると2.9MWの電力を供給することができる。
2カ所の合計で1万1256枚の太陽光パネルを水上に設置した。年間の発電量は330万kWh(キロワット時)になり、一般家庭の使用量(年間3600kWh)で920世帯分に相当する。発電した電力は全量を関西電力に売電する予定だ。
この水上設置型のメガソーラーは京セラと東京センチュリーリースの合弁会社である「京セラTCLソーラー」が建設して運転している。太陽光パネルは京セラ製で、パネルを設置する架台(フロート)にはフランスで実績のあるシエル・テール社の製品を採用した(図2)。
水面に浮かべるフロートは2種類を組み合わせる方式だ。太陽光パネルを設置するために傾斜をつけた中空構造のメインフロートのあいだを、作業用の通路としても使えるセカンドフロートでつなぐ(図3)。素材は高密度ポリエチレンで作られていて、紫外線や腐食に強いため水上メガソーラーに向いている。
京セラTCLソーラーは同様の方式で全国各地のため池などに水上設置型のメガソーラーを展開していく。千葉県では大規模なダムの水面に5万枚の太陽光パネルを設置する計画が決まっている(図4)。2016年3月に完成する予定で、発電能力は加東市のメガソーラーを大きく上回って13.4MWに達する見込みだ。
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