5万枚の太陽光パネルを水上に設置、世界最大のフロート式メガソーラーが千葉県に自然エネルギー

千葉県の企業庁が運営する工業用水ダムの水上に、フロート式では世界で最大の規模になるメガソーラーの建設計画が決まった。5万枚にのぼる太陽光パネルを水上に設置して、発電能力は13.4MWに達する見込みだ。2016年3月に運転を開始する予定で、一般家庭で4300世帯分の電力を供給する。

» 2014年12月25日 11時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 世界最大のフロート式メガソーラーを建設する場所は、東京湾岸から5キロメートルほどの近距離にある「山倉ダム」である(図1)。千葉県の企業庁が湾岸の工業地帯に水を供給するために造ったダムで、水面の広さは60万平方メートルにおよぶ。このうち18万平方メートルの水面に太陽光パネルを設置する計画だ。

図1 「山倉ダム」の全景とメガソーラーの設置イメージ。出典:千葉県企業庁

 太陽光パネルの設置枚数は約5万枚で、全体の発電能力は13.4MW(メガワット)になる。発電事業者の京セラと東京センチュリーリースによれば、水上設置型のフロート式メガソーラーでは世界最大の規模になる予定だ。国内では埼玉県の桶川市に日本で初めてのフロート式メガソーラーが2013年7月に1.2MWで運転開始したほか、同じ埼玉県の川島町にある農業用の貯水池で7.5MWの建設計画が進んでいる。

 山倉ダムに建設するメガソーラーは桶川市で稼働中のものと比べて10倍以上の規模になる。運転開始は2016年3月を予定している。年間の発電量は1564万kWhを見込んでいて、一般家庭で約4300世帯分に相当する。設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は13.3%になり、国内標準の13%を上回る想定だ。発電した電力は全量を東京電力に売電する。

 水上に太陽光パネルを設置するためのフロート(浮体構造物)はフランスのシエル・テール(Ciel & Terre)社の製品を採用する(図2)。このフロートは桶川市のメガソーラーを含めて国内外の主要な水上設置式の太陽光発電設備で使われている。同社の日本法人によると、ダムに設置する場合には水深が10メートル以上で、水流は毎秒1メートル以下の場所に適している。

図2 太陽光パネルの設置方法。出典:京セラ、東京センチュリーリース

 水上設置式の太陽光発電設備は通常の陸上と比べてフロートのコストがかかる半面、土地の造成が不要なほか、太陽光パネルの温度上昇が抑えられて発電効率が高くなるメリットがある。ただし風などの影響で太陽光パネルが揺れたり水につかったりすることから、フロートの性能や設置方法が発電量を左右する。

 京セラと東京センチュリーリースは新たなメガソーラーの建設場所として、農業用のため池やダムなどの水面を対象に発電事業を拡大していく計画だ。すでに第1弾として兵庫県の加東市にある農業用ため池に2.9MWのメガソーラーを建設中で、2014年度中に合計60MWの水上設置式メガソーラーを開発する。山倉ダムに建設するメガソーラーは第2弾になる。

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