水上のメガソーラーで世界最大、農業用の貯水池から2300世帯分の電力自然エネルギー

埼玉県の中部にある川島町に世界最大の水上メガソーラーが誕生する。広さ13万平方メートルに及ぶ農業用の貯水池に7.5MWの太陽光発電設備を設置する計画が始まった。年間の発電量は一般家庭で2300世帯分の電力使用量に相当する。運転開始は2015年10月を予定している。

» 2014年11月13日 09時00分 公開
[石田雅也,スマートジャパン]

 川島町は都心から50キロメートル圏内にあって、その名の通り川に囲まれた町である。平坦な土地に水田が広がり、その一角では農業用水を供給する「梅ノ木古凍(うめのきふるごおり)貯水池」が大量の水をたたえている(図1)。面積が13万平方メートルある池の水面を利用して、水上に太陽光パネルを浮かべるフロート式のメガソーラーを建設する。

図1 フロート式のメガソーラーを設置する「梅ノ木古凍貯水池」。出典:川島町役場

 発電規模は7.55MW(メガワット)になり、現在までに明らかになっている計画では世界最大の水上メガソーラーになる見込みだ(図2)。2015年10月に運転を開始する予定で、年間の発電量は830万kWhを想定している。一般家庭で2300世帯分の電力使用量に相当する。川島町の総世帯数(約7800世帯)の約3割に匹敵する規模になる。

図2 メガソーラーの完成イメージ。出典:東上ガス、大東ガス

 この発電事業は特定目的会社(SPC)の「川島太陽と自然のめぐみソーラーパーク」が貯水池を管理する「川島町土地改良区」から水面を借り受けて実施するプロジェクトである。太陽光パネルの設置面積は貯水池の半分強にあたる7万4000平方メートルを占める。土地改良区は1平方メートルあたり年額150円以上の賃貸料を得ることになっていて、施設の維持管理費の削減に生かす考えだ。

 メガソーラーを建設・運営するSPCは民間企業4社が共同で設立した。エネルギー関連事業のスマートエナジーグループ2社のほか、埼玉県を中心にガス事業を展開する東上ガスと大東ガスが参画した。2社のガス会社はSPCに出資するのを機に、電力事業に参入する意向も表明した。

 埼玉県は全国でも日射量が多く、住宅用の太陽光発電の導入量は愛知県に次いで第2位の規模を誇る。ただし県の面積は39位と狭く、首都圏に近いことから、メガソーラーを建設できる用地は少ない。そのため面積が広い池の水上に太陽光パネルを設置する取り組みを県内で推進中だ。2013年7月には日本で初めての水上メガソーラーが桶川市の工業団地にある調整池で運転を開始している(図3)。

図3 「ソーラーオンザウォーター桶川」の全景。出典:ウエストエネルギーソリューション

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