種子島で実施した太陽光発電の出力抑制、九州電力に改善点の指摘法制度・規制(1/2 ページ)

九州電力がゴールデンウイークの5月5日に、種子島で太陽光発電設備の出力抑制を実施した。1月に出力抑制の運用ルールが変更になって初めてのケースで、妥当性に関心が集まっていた。電力広域的運営推進機関が検証した結果は、「出力抑制は適切だったが、改善点を提案する」という内容だ。

» 2015年07月27日 13時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 再生可能エネルギーと原子力の問題では、九州電力が常に先陣を切る形になっている。太陽光発電設備の急増によって、いち早く接続保留に乗り出したのも九州電力だ。その解決策として政府は発電設備の出力抑制の運用ルールを1月下旬に変更して、実施例の第1号も九州電力だった。

 1年のうちで電力の需要が最も少なくなるゴールデンウイークの5月5日(火)に、鹿児島県の種子島で初めて出力抑制を実施した。九州電力の需給見通しでは、島内の太陽光発電設備が最大の出力を発揮した場合に、供給力が超過して電力が不安定になる可能性が見込まれたためだ(図1)。

図1 5月5日(火)の種子島の需給見通し。出典:電力広域的運営推進機関

 出力抑制の必要量は600kW(キロワット)だったことから、発電能力が1MW(メガワット=1000kW)の太陽光発電設備1カ所に対して、午前9時から午後4時まで出力制御の指示が出た。

図2 5月5日(火)の気象予報と需給バランス。出典:電力広域的運営推進機関

 天候は晴れの予報で、最高気温は22度まで上がる見込みだった(図2)。昼間の13時あたりに太陽光発電の出力が増大する状況だ。実際に当日は晴れて、最高気温は予報を上回る25度まで上昇した。島内の電力は終日にわたって安定していた。

 しかし当日の需給状況に関するデータが公表されていないため、出力抑制の必要性は不明なままだ。出力抑制の妥当性を検証する立場にある電力広域的運営推進機関(略称:広域機関)が2カ月以上を経過した7月22日になって検証結果を公表したが、その報告資料の中にもデータは記載されていない。検証した結果には「出力抑制は適切であると判断する。ただし改善点を提案する」と書かれている。

 広域機関が改善点に挙げた項目は2つある。1つは需要想定の精度向上、もう1つは太陽光発電の出力想定の精度向上だ。要するに、出力抑制の前提になる需要と太陽光発電の出力をもっと精度よく想定すべき、という指摘である。この点から推測すれば、実際には需要と太陽光発電の出力が想定値と大きく違っていた可能性がある。

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