山林が84%の町にバイオマス発電所、再生可能エネルギーを20%に高める自然エネルギー(1/2 ページ)

山形県の最上地域は人工林の密集度が高く、間伐で発生する木材の活用が課題になっている。間伐材をガス化して燃料に利用できるバイオマス発電所の建設工事が始まり、2016年10月に運転を開始する予定だ。豊富な森林資源を生かしてエネルギーの地産地消を推進しながら新たな産業を育成する。

» 2015年10月21日 07時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 山形県の最上町(もがみまち)は東北地方のほぼ真ん中に位置していて、面積の84%を森林が占めている(図1)。東日本大震災が発生した後の2013年に「最上町スマートコミュニティ構想」を策定して、2020年度までに再生可能エネルギーの比率を20%に高める目標を掲げた。当然ながら中核になるのは木質バイオマスだ。

図1 山形県の市町村と4つの地域。出典:山形県庁

 バイオマス発電システムを開発・販売するZEエナジーが最上町の協力を受けて、10月15日に発電所の建設工事を開始した。導入する設備は木質チップを高温でガスに転換してから燃料に利用できる高効率のシステムである(図2)。発電能力は1MW(メガワット)で、発電に伴って生じる熱も町内に供給する計画だ。運転開始は2016年10月を予定している。

図2 ガス化装置を組み合わせたバイオマス発電システム。出典:ZEエナジー

 バイオマス発電の設備利用率(発電能力に対する実際の発電量)は標準で80%に達する。1MWの発電設備では年間に700万kWh(キロワット時)程度の電力を供給することが可能だ。一般家庭の使用量(年間3600kWh)に換算すると約2000世帯分に相当して、最上町の総世帯数(2900世帯)の7割近くになる。

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