電気料金の燃料費調整額が下がる、東京電力は1kWhあたり4円近くも電力供給サービス(1/2 ページ)

毎月の電気料金に上乗せする「燃料費調整額」が直近1年間で大幅に低下した。LNGと原油の輸入価格が急落したためで、電力会社10社の平均で1kWhあたりの単価が2円以上も安くなっている。原子力発電所の運転停止で問題になっていた火力発電の燃料費は震災前の水準に戻りつつある。

» 2015年11月04日 11時00分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 「燃料費調整単価」は化石燃料の輸入価格をもとに、電力会社が月ごとに算出して電気料金に上乗せする。2015年1月分と12月分を比べたところ、10社すべてで値下がりしている。平均すると電力1kWh(キロワット時)あたり2円以上も低くなった(図1)。標準的な家庭の電力使用量を月間300kWhとして計算すると、電気料金は月額600円以上も安くなっている。

図1 2015年1〜12月分の燃料費調整単価(低圧の場合)。単位:円、▲はマイナス

 特にLNG(液化天然ガス)の発電比率が高い東京電力と中部電力の下げ幅が大きい。東京では3.93円/kWh、中部でも3.20円/kWhの値下がりだ。東京の標準家庭の電気料金は月額で1000円以上も安くなった。一方で石炭火力の比率が高い北陸では0.98円/kWhの低下にとどまっている。

 東京電力によると、震災後に値上がりしたLNGの輸入価格が2014年11月から急落してピーク時の半値まで下がった(図2)。原油は震災後も安定して推移していたが、LNGよりも少し早く2014年の半ばから急速に低下した。対して石炭の輸入価格は2012年から下がり始めて、直近1年間の下落幅はLNGや石油よりも小さい。

図2 燃料の輸入価格の推移(画像をクリックすると拡大)。b:バレル、t:トン。出典:東京電力

 燃料費調整単価は3〜5カ月前の輸入価格を平均して計算する方法を採用しているために、電気料金には4カ月の遅れで反映する。LNGの輸入価格が最も安くなった時期は2015年5月で、東京や中部の燃料費調整単価は9月分から大幅に下がった。

 それ以降もLNG・原油・石炭すべてが低い水準で推移したことから、全国平均では12月分の単価が年間を通じて最も低い。2016年に入ってからも化石燃料の輸入価格が上昇する要因は少なく、当面は同程度の水準を維持する見通しだ。

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