電気自動車の中古蓄電池、ドイツで再利用も含めたリサイクルチェーン確立へ蓄電機器・発電機器(1/2 ページ)

電気自動車はもはや“移動体”としての役割だけでは語れない――。ドイツのダイムラーとモビリティハウス、GETEC、ルモンディスなどは、中古の電気自動車用蓄電池を再利用した蓄電池システムの実用化にめどを付け、13メガワットの蓄電池システムを2016年初に電力系統に接続することを明らかにした。

» 2015年11月24日 11時00分 公開
[三島一孝スマートジャパン]

 今回の取り組みは、ドイツの自動車メーカーであるダイムラー(Daimler)とスマートハウスを展開するモビリティハウス(Mobility House)、エネルギーサービスプロバイダーのGETECが合弁会社を設立し、リサイクルおよび水処理関連企業であるルモンディス(REMONDIS)を通じて、電力の供給の安定化需要に向けた販売を行うもの。

 電気自動車(EV)での使用済みバッテリーを活用し、これらを組み合わせた定置型蓄電池システムをヴェストファーレン州のリューネン市に設置する。この蓄電池システム容量は13MW(メガワット)である。ダイムラーでは、この蓄電池システムをリユースする取り組みについて「電気自動車の環境への貢献度を向上させ、経済的な効率も高めるものだ」とコメントしている(図1)。

photo 図1 定置型へとリユースされた電気自動車用の蓄電池 出典:ダイムラー

 これらの連携により目指すものは、電力の効率的な活用とともに、蓄電池の効率的なリサイクルチェーンの実現だ。それぞれの企業がこのリサイクルチェーンで重要な役割を担う。バッテリーシステムの再処理や製造を行うACCUMOTIVE、これを電気自動車やプラグインハイブリッド車(PHEV)などに活用するダイムラー、さらに電気自動車用電池として寿命を終えたバッテリーを定置型の電池として再利用(リユース)するモビリティハウスとGETEC、そして全てのライフサイクルの最後に原材料ベースとして再び生産工程に戻すルモンディス、という形である(図2)。

photo 図2 定置型へとリユースされた電気自動車用の蓄電池(クリックで拡大)出典:ダイムラー
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