小売電気事業者に東京電力グループも、電話会社ではKDDIが初めて登録電力供給サービス(1/2 ページ)

電力の小売全面自由化に向けて「小売電気事業者」の登録数が順調に増えている。12月18日に16社が審査を通過して、累計で89社に達した。審査中の事業者も100社を超える。新たに事前登録が認められた中には、東京電力グループやKDDIのほか、東京ガスと東北電力の合弁会社も入った。

» 2015年12月18日 14時46分 公開
[石田雅也スマートジャパン]

 小売電気事業者の登録審査を担当する「電力取引監視等委員会」は12月18日に委員会を開き、新たに16社を適格と判断した(図1)。これまでに6回の審査を完了した結果、合計89社が小売電気事業者の事前登録を認められた。さらに審査中の事業者数は107社にのぼり、合わせると200社に迫る勢いだ。

図1 小売電気事業者の審査を通過した16社(2015年12月18日)。出典:電力取引監視等委員会

 新たに審査を通過した16社の顔触れを見ると、半数を超える9社が電力会社かガス会社のグループに属する。電力関連では東京電力グループのテプコカスタマーサービスが小売電気事業者に加わる。東京電力が2013年に100%出資で設立した電力販売とサービスの会社で、2014年から中部・関西エリアの企業向けに小売を開始した(図2)。2016年4月の全面自由化後は家庭向けの小売にも参入する見通しだ。

図2 テプコカスタマーサービスの電力供給サービス。出典:テプコカスタマーサービス

 東北電力と東京ガスが2015年10月に合弁で設立したシナジアパワーも審査を通過している。東京と東北のあいだに位置する北関東を中心に企業向けの小売から開始する予定だ。東北電力の供給力と東京ガスの販売チャネルを生かして顧客を開拓する。いずれ都市ガスの小売に加えて家庭向けの販売にも乗り出す可能性が大きい。

 このほかに都市ガスの販売量で第3位の東邦ガスと第4位の西部瓦斯、中堅の中部ガス(サーラグループ)も小売電気事業者の審査を通過した。最近では水素に力を入れている岩谷産業はLP(液化石油)ガスの販売会社2社を登録する。四国の大一ガスや九州のエコアもLPガスの顧客を対象に電力とセットで販売していく。

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