宇部興産は福岡県の苅田セメント工場に出力1万2650キロワットの排熱発電設備を導入。電力の自給率を約30ポイント高めた。セメント製造時の高温排熱で蒸気を作り、蒸気タービンを回す。固定価格買い取り制度(FIT)を利用しないエネルギーの有効利用の一例だ。二酸化炭素の排出量も約10%減る。
高温の熱を使う工場で無駄になってしまうエネルギーは多い。宇部興産はセメント工場で生じる排熱を利用し、発電するシステムの導入を計画。2014年6月に着工し、2016年1月から本格稼働を開始した。「約50億円の投資で、年間約6億円のコスト削減効果を見込む」(宇部興産)。
出力1万2650キロワット(発電端)の排熱発電設備を設置し、化石燃料の消費量を削減。二酸化炭素排出量削減も狙う。設備導入によって、セメント1トンを作る際に必要なエネルギー量(エネルギー原単位)を約15%改善。エネルギー由来の二酸化炭素排出量を約10%(年間約5万トン)削減する見込みだ。
宇部興産はセメント工場を国内3カ所で運営している。発電システムを導入したのは福岡県苅田町(かんだまち)に位置する「苅田セメント工場」(図1、図2、図3)。
「宇部セメント工場(山口県宇部市)は自家発電所を備えており、セメント製造に必要な電力のうち約85%を既にまかなっている。伊佐セメント工場(山口県美祢市)では苅田セメント工場よりも大きな設備を導入済みであり、電力の約90%を自給している」(同社)。
苅田セメント工場に排熱発電設備を導入し、発電した電力を全て工場内で利用する。これにより、約10%と低かった電力自給率を約40%に高めることができるのだという。
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