地熱発電を中心に再生可能エネルギーの導入が進む大分県では新たに2016年度から9年間の拡大計画を実施する。最終年の2024年度にはエネルギーの自給率を51%まで高めることが目標だ。発電規模が大きい太陽光のほか、地域の資源を生かした温泉熱発電やバイオマス発電を大幅に伸ばす。
大分県は1月8日に「新エネルギー導入ビジョン」の素案を公表して県民から意見を募集中だ。2月8日まで受け付けて、新年度が始まる4月からビジョンに基づく施策を実施する。「おんせん県」にふさわしく、地熱をはじめ太陽光からバイオマスまで長期的に導入量を拡大していく構想だ。
このビジョンは2016年度から2024年度までの9年計画で、再生可能エネルギーを中心に県内の自給率を大幅に高めることを目指す。大分県では再生可能エネルギーのほかに分散型のエネルギー源になるガスコージェネレーションと燃料電池を加えた「エコエネルギー」を増やす(図1)。
大規模な製造業を除いた県内のエネルギーの消費量のうち、エコエネルギーの比率は2014年度の時点で33%に達している。このエネルギー消費量には自動車の燃料をはじめ石油・石炭・ガスを含む。対してエコエネルギーの導入量は地熱発電が最大で、次いで太陽光発電、水力発電、バイオマス熱利用の順に多い(図2)。大分県が2011〜2015年度の5年計画で立てた導入量の目標は1年前倒しで達成した。
新たに策定した9年計画では、引き続き太陽光発電の導入量を拡大するのに加えて、温泉熱発電やバイオマス発電を大きく伸ばす。温泉熱発電は約6倍に、バイオマス発電も約5倍の規模に拡大させる目標だ。エコエネルギー全体の導入量では9年間に42%の増加率を想定している(図3)。
一方でエネルギーの消費量は9年間で8.4%削減する(図4)。主な施策は電気自動車や燃料電池車などのクリーンエネルギー自動車を約3倍に増やすほか、地域・家庭・工場の省エネ対策を推進していく。この目標を達成できると、エコエネルギーの拡大と合わせて自給率は33%から51%へ上昇する見込みだ。
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